チーム訪問

2017/03/28
八王子学園八王子高等学校
東京都

八王子学園八王子 【Vol.1】 石川淳一監督 コーチングフィロソフィー

全国大会の常連校であり、2010年の沖縄インターハイでの優勝を筆頭に、
インターハイ、ウインターカップでの4強入り4回という実績を誇る八王子学園八王子高校。
この冬の新人戦では東京都2位。さらなる躍進が期待される強豪校です。
夏のインターハイへ向け、チームの練習にも日々、熱が入っています。

八王子学園八王子高校はどんな学校?

八王子学園八王子高校は東京都八王子市にある私立の中高一貫校です。立地はJR中央線「西八王子」駅から徒歩5分と利便性が高く、今年創立 87 周年を迎え、「八学」の愛称で親しまれています。学園のモットーは「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」。3コース制(文理・総合・アスリート)を採用し、「文理コース」は特進・選抜・進学のクラスが設置されており、「総合コース」は文科系・音楽系・美術系のクラスがあります。これにより生徒が自分に最適なコースを見つけることができ、個性を伸ばしていける環境が整っています。

八王子学園八王子高校(以下、八王子高)の男子バスケットボール部は全国大会の常連校です。2010年の沖縄インターハイでは優勝候補の明成高校(宮城)を逆転で破って初優勝。近年、東京都では圧倒的な強さを誇っています。リバウンドからのスピードあふれる攻撃に加え、200㎝を超える留学生の高さを武器に、攻守で相手を苦しめます。新チームは、経験のある3年生が抜けたため全国大会での経験が少ないものの、ポテンシャルの高い選手がそろっています。リーダーシップを発揮できる選手が育っていけば、全国でもおもしろい存在になりそうです。

八王子学園八王子学校 HP




部旗に書かれているのは「臥薪嘗胆」の文字

石川淳一監督 

バスケットを教えたくて教員を目指した!

僕は現役時代、ポイントガードをやっていました。ドライブから周りを使っていくタイプだったかな。高校は日大櫻丘(東京都世田谷区)。自分で言うのもなんですが、なかなかの選手だったと(笑)。大学は日大を選びました。ただ大学に入ってみると、日本でもトップクラスの選手が集まっていて、身長も低くスピードもない自分を感じ、明らかにレベルの差を痛感しました。大学2年の頃、プレイヤーとして限界が見えてきました。

そこで方向を変え、知り合いの高校でアシスタントコーチをやらせてもらい、審判を始めました。当時は市役所の職員を目指していました。土日は休みになるし、定時で仕事が終わる。そうすれば、ミニバスの指導者になれると思っていました。でも、公務員試験に落ちてしまい、次に教員を目指しました。とにかくバスケットを子供たちに教えたかった。

大学卒業後、母校の日大櫻丘高と八王子高で1年間、非常勤講師として勤め、バスケット部のコーチをやっていました。2年目から専任で八王子高を見るようになりました。最初は女子をみていましたが、男子から「教えてほしい」と頼まれ、男子も指導するようになったのです。


石川淳一監督

専用の体育館がなかった頃、
ゲームをする機会を増やして強くなった!

1988年(昭和63年)、初めて東京で八王子高はベスト6になりました。当時、学校には専用の体育館がなかったため、東芝日野工場にお願いをし、16:00から17:30ごろまで体育館を使わせてもらいました。僕が車で学校から選手を連れて行っていました。そこで試合ができたことで、少しずつチームは強くなれました。その頃から試合をするのが重要だと考え、部員を車に乗せて新潟へ遠征に行ったりしました。とにかくゲームをたくさんやるようになりました。

経験が少なくファンダメンタルもまだまだ。
でも今年のチームはへこたれない精神がある!!

去年のインターハイが終わってから、なるべく下級生を入れながらチームを作ってきました。なぜなら、3年生には受験があり、それまで3年生5人だけでやってきたからです。そこで、なんとか1、2年生を成長させたかった。でも、下級生は3年生に頼る傾向があり、自分たちで崩すことができなかった。ガードを使っていなかったのもうまくいかない原因でした。


そこで明成高校(宮城)方式で、1か月ごとにキャプテンを変え、選手一人ひとりが責任感を持てるようにしました。今、少しずつ良くなってきていると思います。今年のチームは経験が少なく、ファンダメンタルもまだまだ。でも、僕は希望を持っています。なぜなら、彼らは決してへこたれないからです。そして走ることができる。

4月には1年生が20人ほど入部してきます。ポイントガードは4人ぐらい、キャリアがあり能力が高い選手たちが入ってきてくれます。2年生の留学生ババカル(・アルダラジャロ:201㎝/セネガル)を生かすにはゾーンディフェンスですね。走力を生かして前からプレッシャーをかけていくチームを目指しています。

インターハイ出場が今のチームの目標です。もちろん優勝を狙いたいですが、新人戦では東京2位。まずは、目の前のことに集中し、一歩一歩、確実にチームを成長させていきます。


部員たちを厳しく、そして温かく見守る石川監督

日本人が上手くならなければ、
どんなにすごい留学生がいても勝てない!

僕の理想を言えば、チェンジング・ディフェンスから人とボールが動き続けるバスケットボールをやりたい。10人を交代で回していけるような。NBAで言ったら、ゴールデンステイト・ウォーリアーズのように。速攻を止められても、アーリーオフェンスで崩していく。八王子に当てはめると、速攻崩れから外角シュートを打って、ババカルが走ってリバウンドに飛び込んでくれる。そんなバスケットをやっていきたい。

ただし、いくら長身の留学生がいても、日本人が成長しなければ勝つことはできません。福岡第一高で大活躍した重冨兄弟(4月から専修大1年)、東山高も岡田侑大選手(4月から拓殖大1年)など、優れた選手がいたからこそチームも強かった。高校のトップチームはポテンシャルある留学生がいるだけじゃなく、上手い日本人が必ず周りにいます。

富樫選手(千葉ジェッツ)を見てもわかるように、
小さくても戦える時代になってきた!

今までは高さが有効だった。でも、もう高さは関係ない時代に入ってきました。スピードと技術、気持ちがあれば、小さくても勝てる。富樫勇樹君(千葉ジェッツ)が出てきたことで、身長が低くても戦えることを証明してくれた。ゴールに向かう積極性、戦う気持ち、自ら身体をぶつけて守る姿勢。高校生はプロじゃない。中学時代に上手かったかどうかは関係ありません。どんな選手でも3年間やれば、上手くなります。富樫君は今でもバスケットボールを研究している。英語も話すことができるし。やっぱり上手くなりたい気持ち、学習意欲が選手を大きく成長させるし、そうした姿勢を持ち続けることこそが重要だと思います。

“練習のための練習”では意味がない!
八王子は圧倒的にゲームを重視!

八王子の特徴として、圧倒的にゲームが多いです。ゲームをやらなきゃ、やっぱりおもしろくない。自分たちの何が悪いのかが、わからない。“練習のための練習” ではなく、大事なのは “試合のための練習”。最低1日に1試合はやっています。その5対5の中で「良い、悪い」を探し出していく。2対2、3対3は自分たちで昼休みや自由時間に自主的にやり、遊び感覚でやればいいと思っています。

また、そのゲーム中は、あまりプレイを止めません。ゲームはその時々の判断が大事だからです。止めてしまうと、試合の流れがつかめなくなる。もちろんゲームをやる前に、プレイを教えるための2対2、あるいは3対3などはやります。

先日、3対3の練習をやっている場面で、コートに入っていない選手たちが走りに行っていました。僕はそのとき、コーチを怒りました。3対3の練習をやっていたら、周りはそのプレイを見て、目で覚えて、学ばなければいけない。それは料理の隠し味のように、すごく大事なことです。3対3をやるときは全員で3対3の練習に集中し、走るときは全員で走る。そうしたことを大事にしています。

※次回の【Vol.2】では、チームを支える人を紹介します。

取材・文・写真/一柳英男


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