チーム訪問

2017/04/11
千葉経済大学附属高等学校
千葉県

千葉経済大学附属 【Vol.1】 池端直樹監督 コーチングフィロソフィー

千葉経済大学附属高校は千葉県千葉市稲毛区にある私立高校です。生徒が「明朗・真摯・友愛」の校風のもと、明るく、のびやかに、快適に(全教室に冷暖房の空調設備が完備)学べる環境を整えています。進学・就職指導にも力を入れ、志望する大学・短期大学・専門学校、また就職へのきめ細かい指導を1年次から行っています。同校には普通科・商業科 ・情報処理科の3つの科があり、部活動や学校行事・生徒会活動などは3科や学年の枠を超え、力を合わせて活動できる環境になっています。

女子バスケットボール部は、千葉県内屈指の強豪校です。「やれでやるよりやるでやる」の精神で、「インターハイ出場」を目指し、毎日厳しい練習を行っています。チームのモットーは、部内に1軍、2軍を作らないこと。「技術・能力の高い低いに関係なく、チームの誰一人欠けることなく同じ練習をする。それがチーム力をアップさせる」と、監督の池端直樹先生は考えています。狭いハーフコートの練習においても、全員でうまくスペースを共有しながら練習に取り組む風景は、もはや芸術的。千葉県には全国大会常連の昭和学院高がいますが、その昭和学院をどこまで苦しめることができるか、今年のインターハイ予選でも目が離せないチームです。

◆千葉経済大学附属高等学校 HP


池端直樹監督 

大学では選手から学生コーチに転身

現役時代、ポジションはガードでした。身長は173㎝で、自分からドリブル突破を仕掛けていくタイプ。そんなに上手くはなかったので、とにかく一生懸命やることだけ心掛けていました。

大学は日体大へ。最初は2軍にいました。当時は全盛期で部員が1学年100人ほどいて、4学年合わせると350~400人ぐらい。そうそうたるメンバーが集まっており、私は途中で選手から2・3軍の学生コーチ(名称:トレーナー)に転身しました。

就職活動の時期が近づくにつれ、実業団のコーチのお話をいただきました。でも、自分は教員になりたい気持ちが強くあり、どちらにしようか迷いましたが、教員の道を選びました。

男女の顧問から生徒のひと言で女子の指導者へ

大学を卒業し、縁があってすぐ千葉経済大附高校に着任、今年で31年目になります。最初は男女のバスケ部顧問を任されました。当時はどちらもチームとして形ができていなく、地区で1回も勝てない弱小チームでした。でも、昔の体育大学流の指導で、体力勝負でとにかく一生懸命やるチーム作りをしていくうちに、私が25~26歳ぐらいのときに男子が県ベスト8、そこから2~3年でベスト4になることができました。

千葉経済大附高を指導して31年目の池端監督

当時は男女同一の顧問が多く、大会せは男子のベスト8決めと女子のベスト4決めの日程が重なったりもしました。平気でそういう日程が組まれていました。私としては両方ともに一生懸命見てあげたかった。だから前半に男子を見て、後半に女子を見る。それが生徒のためになると思い込んでいました。

しかし、あるとき、生徒から「先生、一生懸命指導してくれているのはわかりますが、男子か女子どちらかに絞ったほうが絶対いいです!」と言われました。私は生徒に気持ちを100%注いでいましたが、受け取る生徒は50%に感じてしまうんだな。こっちがどんなに一生懸命にやっていても、受け取る側にはそう伝わってしまうんだと痛感。このままではどっちも中途半端になってしまう。どちらかに決めなければ……。そこでいろいろ考えながら、徐々に自分の指導が反映されやすい女子を見る機会が増え、今に至っています。

身長の低いチームが1対0を作るには走るしかない!

バスケットに「これで良い」というものはありません。去年、成功したから、それを新しいチームに当てはめても成功するとは限らない。世の中に同じ人間はいません。だから常に修正したり、アレンジしたり。コーチを続ける限り、ずっと勉強し続けなければいけません。女子だから男子だからという区別はなくて、やっていく中で「こうした方が良い」と、指導を変えてきました。

強いて言うなら、「ノーマークを作る」のが私のバスケットです。身長が低いチームが1対0、つまりアウトナンバーを作るにはやっぱり走るのが有効です。どんなに長身で能力の高い選手が本校に入部してきても、このスタイルは変わりません。どの選手で勝負するかというよりも、何で勝負するかが大事だと思っています。

この2年間、連続してインターハイに出場ができました。ただし、今年のチームは引退した上級生に頼っていた部分がかなり大きく、試合経験はあっても、自分が中核としてプレイする意識がまだまだ足りていません。私もその意識を選手に伝えきれなかった。その時点で、今年のチームはスタートが少し遅れています。リーダーシップを取れる選手がいないので、今年は部員たちにキャプテンを選ばせ、チーム力強化においても試行錯誤しています。



1軍・2軍に分けない! 
誰も切り捨てないことがチームを強くする!

基本的にAチーム(1軍)、Bチーム(2軍)には分けません。千葉経済も新1年生を加えたら部員が50人以上になります。大人数で練習するには効率的ではないかもしれません。でも、チームを能力だけで分けてしまうと、Bチームのモチベーションが下がってしまいます。Bチームの選手だって、千葉経済でバスケットをやりたいと思って入学してきてくれます。

本校にはバスケットの寮もありません。みんなが通いで、電車で1時間あるいは1時間半もかけて通学しています。他にも素晴らしい学校があるのに、うちを選んで来てくれている。極端に言えば、排除したり切り捨てることは、Aチームの選手にも悪影響を与えると私は考えます。だから、遠征でも練習でも、できるかぎりチームは全員が一緒に行動します。

背が高い・低いは、選手のせいではありません。また、できる・できないも、選手だけのせいではありません。背が低い選手にはアイデアを提供します。できない選手をできるだけできるようにするのが指導者の仕事だと思うからです。

国際大会で感じたのは、日本人にタフさや
ハングリー精神が足りないこと!

昨年、U-17女子日本代表の総括(全体を見る立場)として国際大会を経験しました。そこで感じたのは、日本は本当に恵まれているということ。いろいろな情報が手に入るし、おいしいものも日常的に食べられる環境にあります。

日本人は勤勉で、与えられたことに正確に真摯に取り組む意識は他の国には負けません。ただ、海外遠征をすると、注意を払っているにもかかわらず、食事や水で体調を崩してしまうことがたまにあります。環境が整い過ぎているという部分が、コート上でも少し出ているように思いました。「これをやれ」ということはやるけれど、指示待ち人間になってしまう傾向もあります。荒っぽさや枠からはみ出るハングリー精神が、やはり足りないように痛感しました。


バスケットボールという難しい競技にチャレンジすることがすでに凄いこと!

バスケットボールは厳しいスポーツであり、正確さや高い集中力を要求されます。身体が硬直していては、良いパフォーマンスは生まれません。デリケートで難しい競技です。でも、それがバスケットボールの魅力だと私は最近感じています。その難易度の高いスポーツにチャレンジしようとする気持ちこそが、すごく大切です。部員には、それに自信を持って突き進んでほしい。負けたから失敗、勝ったから成功ではありません。結果は結果でしかない。後悔するかしないかが重要です。全力を出し切れば負けても悔いることはありません。もし失敗を探すというなら、自分の力を出し切れないことです。

今はバスケットに夢中で打ち込んでいても、やがては結婚したり就職することでほとんどの部員がバスケットボールを離れるかもしれません。大事なのは、バスケットボールを通じて学ぶこと。根気強さを学んだり、組織の中で生きる力を育んだり、仲間を得たり。もしこれから指導者を目指すなら「バスケットボールの技術を教える」だけでなく、「バスケットボールを通じて伝える」ことも忘れないでほしいと思っています。


千葉経済はAチーム、Bチームで分けた練習は行わない。せっかくこの学校を選んでくれたのだから、
誰一人切り捨てることなく、狭いハーフコートの練習でもチーム全員で行う


「進行方向につま先を向けなさい」「重心は股の下に置きなさい」と、走り方についても細かくわかりやすく説明する池端先生。
その意識付けにより、多くの選手の軸がぶれていなかった


南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太さんは卒業生。
2013年に母校を訪れた際に池端先生に贈られたサイン色紙。
「バスケットボールが上手ではなかったけど、3年間休むことなく一生懸命練習していた。
本当にバスケが大好きだった」と、顧問の池端先生は当時を懐かしむ

※次回のVol.2では、チームを支える人を紹介します。

取材・文・写真/一柳英男

◆男子バスケットボール部の卒業生、南海キャンディーズの山里さんの色紙を追加掲載いたしました。


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