チーム訪問

2016/12/20
神奈川県立旭高等学校
神奈川県

旭 【Vol.1】 講武 達雄 監督 コーチングフィロソフィー

神奈川県で頭角を現してきた公立の高等学校の一つ。
高い身体能力を持つ強豪チームにも臆せず向かっていくことができれば、
全国上位の期待大。
今回は、その旭の魅力に迫ります。
第1弾は、U18女子代表チームの指導でもご活躍している講武監督にインタビューを行いました。

旭ってどんな学校?

旭高校は神奈川県横浜市旭区にある公立の高等学校です。創立以来の伝統を大切にしながら「ひとつ上を目指す」ことを目標に、部活動やボランティア活動、さらに学習活動にも力を入れています。人間力を向上させ、厳しい時代を生き抜くことができる生徒を育てる学校になることを目標としています。

旭高等学校・女子バスケットボール部は近年、神奈川県内にもはや敵がいないほどの力をつけてきました。プレッシャーマンツーマンディフェンスからの速攻を武器とし、その存在は旭高校の中でも大注目されています。ウインターカップ出場も決め、全国大会の常連になりつつある旭高校。高い身体能力を持つ強豪チームにも臆せず向かっていくことができれば、全国でも勝てるチームになる可能性は大いにあります。

講武 達雄 監督 

キーワード①
「教員になりたい」「指導者になりたい」なんてまったく考えていなかった!

高校(島根県三刀屋高校)のときはセンターをやっていました。僕が高校1年生のとき、3年生の先輩たちが強くて。全国の舞台を経験させてもらいました。2・3年のときは中国大会に出るぐらい。島根県の中で僕たちは強かったかもしれません。でも全国で通用する選手ではありませんでした。
高校卒業後の進路をどうするか考えました。とにかく今のようにたくさん情報がありません。インターハイの決勝もラジオで放送するような時代だったので。ただ島根県は松江工業が全国優勝するぐらい、バスケットが盛んな土地でした。バスケットは僕自身好きだったので、大学では通用しないと思うけど、日本でいちばんレベルの高いリーグでやってみたいな。そう考えたら関東だったんです。親も公務員だったので、家を出て生活しなきゃいけないと考えたら、やっぱり国立大学しかないなと思いました。それで決めたのが東京教育大(現・筑波大)でした。

そんな流れで大学に入ったので、はっきりと「教員になりたい」とか「指導者になりたい」なんて、当時はまったく考えていませんでした。4年生になって、教育実習をしたりして、教員試験も受けることになっていました。でも卒業後はバスケットをもう少し勉強したいから、大学院でも行こうかなと思っていたんです。結果、教員試験に受かったので、教員になりました。

キーワード②
教員になりたてで、大舞台で勝つ経験をさせてもらえた!それがモチベーションに

新卒採用で鎌倉高校の教員になり、男子バスケ部の顧問になりました。2年後、女子の顧問の先生が転勤ということで、僕が男女両方見ることになりました。男子はそこまで強くなかったんですが、女子は僕が行く前からインターハイに出場するぐらい力がありました。だから初めて女子を見る3年目には県でベスト4に入り、関東大会にも出場できました。もちろん私の力ではありません。選手がすごく能力が高くて、選手たち自身ががんばったんです。その後、男子も関東大会に出場できました。 ゼロからチームを立ち上げると、なかなか選手もそろいません。大舞台を経験するなんて簡単にできないんです。うまくいかないと、結果が出ないと、みんなあきらめの気持ちもでてきます。ですが、僕は教員になりたてで、関東大会などで勝つ経験ができた。いくら高い志しがあっても、実際そこへ行かないと自分ができるかどうかわからないじゃないですか。僕が育てたチームじゃないけど、自分がベンチワークをして、そういう大会に出て勝つことができた。その経験が自分にとってすごく大きかったと感じています。

キーワード③
荏田高校で18年間やってきたバスケット指導!旭高校に来てからも選手が集まってくれた

2007年に旭高校に来ました。1年目は県大会に出場できませんでした。2年目に能力と意欲のある1年生が20人ぐらい入部してくれて県でベスト8に。4年目で県ベスト4になることができました。

旭に来る前の荏田高校で、新人戦で優勝したり。荏田高校での実績を認めてくれた方々の子供たちが旭高校に入ってきてくれたこと。それが4年目で強くなれた理由だと思います。

僕のやり方は基本的なことをしっかり積み重ねていくものなので、短期間で結果が出るものではないんです。代がかわったときにできるだけレベルを下げず、今までやってきたことを積み重ねていく。それをいつも心がけています。代によって多少能力の高い低いがあったとしても、チームとして経験が浸透してくれば、チーム自体のレベルは徐々に上がってくると思います。

キーワード④
国際大会も同じ!小さく能力が低いなら、「強さ」と「速さ」で勝負する!!

日本の高校の中で、恵まれた選手を持っている高校はわずかしかありません。ほとんどのチームは身長が小さかったり、能力が低い選手しかいません。高さがある子、能力のある子と戦っていくにはそれ以外の『速さ』と『強さ』で勝負していくしかありません。ただ、「強さ」といっても「身体の強さ」「プレイの強さ」だけでなく、根本に「気持ちの強さ」がないと駄目です。「速さ」もただ速く動けばいいわけじゃない。「動きの速さ」「プレイの速さ」の前に、「正確な判断の速さ」が必要じゃないかと考えています。そういうバスケットボールをやっていきたいです。

僕はU-18日本代表のスタッフをやっています。その中で国際大会などたくさん経験をさせてもらっている。だから新しいバスケットの情報を早く知ることができ、世界の能力の高い選手たちと戦った経験を得ています。そこで実際肌で感じたものをみんなに伝えたいですし、それが僕の仕事だと思っています。日本が中国や世界のチームと戦うときに身長のハンデがある。そこを豊富な運動量で戦っていかないと勝てないんだ。そのことをチームに植え付けたいです。

トップ選手を育てたいと思うのは指導者誰もが願うことだと思います。あきらめないで指導をして良いチームを作ることができれば、他の日本のチームにも良い影響を与えられるはずです。

日本のバスケットボールを強くするためには能力がある選手にバスケットボールというスポーツを選んでもらわなければなりません。(もちろん高いレベルの指導も必要です。)そのためには安心が不可欠です。バスケットボール選手としてお金を稼いで生活できるか、引退した後のセカンドキャリアも安定して仕事ができるか。それを日本協会が体制を作っていく必要があります。バスケットボール事態はおもしろいスポーツです。それは世界も日本も変わらない。魅力のある競技団体になることがいちばん大切だと思います。

キーワード⑤
ウインターカップ、今の旭高校の選手たちならきっとできるはず!

旭高校スタメンの3年生は1年時の千葉インターハイにほとんどエントリーしていて、3人ぐらいは試合に出ていました。去年の国体も含めると、全国で戦う経験を多い選手では6回しています。でも今年のインターハイでは強豪の昭和学院戦で大敗してしまいました。 

たしかに昭和学院は高さも能力もあります。でもその昭和学院は札幌山の手に負けました。札幌山の手が流れをつかんだのは長身選手を外し、前からプレッシャーディフェンスをかけたからです。それで昭和学院がミスをして、山の手のペースになりました。それを考えると、旭が昭和学院に負けたのは相手が大きかった・能力があったからではないということになります。

荏田高校のときも、今の旭高校の前の代もインターハイ2回戦ぐらいで負けています。でも全国のベスト4のチームとちゃんと戦えているんです。ところが今の旭高校はそれだけ全国でキャリアを積んでいるのに、強豪と戦うと大差で負けてしまう。まだ、僕の求める『速さ』と『強さ』で戦っていくという考えが選手にうまく伝わっていないということだと思います。ウインターカップに向けて、練習から変えていかないといけないです。相手が自分たちより大きくなったときに、普通にプレイする強さがまだありません。それを乗り越えた姿を見てみたいです。

取材・文・写真:一柳英男


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