チーム訪問

2016/12/23
船橋市立船橋高等学校
千葉県

市立船橋 【Vol.1】 近藤 義行 監督 コーチングフィロソフィー

千葉県の全国大会常連校。2014年のウインターカップでは全国3位。
今年のチームに期待は大きく、将来性の高い選手が数多く在籍している。
今回は、その市立船橋の魅力に迫ります。
第1弾は、近藤監督にインタビューを行いました。

市立船橋ってどんな学校?

市立船橋高校は千葉県船橋市にある公立の高等学校です。市船といえば、サッカーをはじめ、スポーツが強いイメージがあります。普通科・商業科・体育科の3学科に、約1200名が在籍。教師と生徒、生徒同士のコミュニケーションを重視し、のびのびとした雰囲気の中で個性を生かし大きく伸ばしていく。「いちふな」の愛称で親しまれている学校です。
市立船橋高等学校・男子バスケットボール部はディフェンスからのトランジションスタイルが武器で、全国大会の常連校です。2014年のウインターカップでは全国3位。近年はベスト16止まりですが、運動能力などポテンシャルは非常に高いチームです。今年のチームも期待は大きく、将来性の高い194㎝の司令塔・赤穂を中心にチームがまとまれば、おもしろい存在になること間違いなしです。卒業生にはBリーグで活躍する鵜澤潤選手(B1名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)や遠藤祐亮選手(B1栃木ブレックス)がいます。

船橋市立船橋高等学校 HP
http://www.ichifuna.ed.jp/



近藤 義行 監督

キーワード①
初出場したインターハイで能代工業と決勝戦!その印象は衝撃的だった!!


私はこの市立船橋高校出身で、バスケ部のポイントガードでした。技術的にはシュートもうまくないし、ミスの多い選手でした。でもとにかくバスケットが好きで。小さいガードでしたが、ガッツがあって足の速さが長所だったように思います。自分がディフェンスを完全に引きつけて、ノーマークの味方へアシストが決まると、すごくうれしかったですね。ガードとしての役目を果たしたなと思えるので。とにかく強気でリーダーシップを取っていましたね。ちょっとえらそうだったかもしれませんが(笑)
2年生のとき、市船が初めてインターハイに出場しました。私はメンバーに入れなかったので、応援団長としてサポートに回りました。初出場で決勝まで行って、能代工業との決勝戦で4点負け。準優勝でしたが、そのときのインターハイの印象が衝撃的でした。そのとき「指導者になって、必ず自分のチームをインターハイに連れて行きたい」、教員になりたい気持ちはさらに強くなりました。
準優勝した帰りの電車の中で先輩たちから「お前がキャプテンをやれ!」と指名されました。3年生のときは岡山インターハイで福岡大濠に負け、ベスト8でした。国体が終わって、肩の痛みが出たので、病院に行きました。すると上腕骨の骨脳腫(骨髄の中に膿がたまる病気)と診断されました。ちょっとでもぶつかれば、骨が折れてしまう状態で。病院の先生から「大学でプレイするなら、肩にボルトを入れなきゃだめだ」と言われ、ボルトを入れて、高校卒業後は国士館大でバスケットをやっていました。大学2年までプレイしましたが、そこで入れたボルトを取り除かなければいけなくて。そこでまた手術をして、リハビリなどをしていたとき、もう現役は退こうと考えました。大学3年生から指導者になる勉強を始めて、学生のうちから実業団の勉強会に参加したりしていました。
中学校時代は県大会にも出れないレベルでしたし、「教員になりたい」と言って、市立船橋高校の体育科に入ってきたのが僕のバスケット人生の転機でしたね。

キーワード②
女子の世界から男子へ。細かいことを考えた女子の指導経験が男子で苦労しなかった理由

大学卒業後、市立柏高校(女子バスケ部顧問)で14年間、その後、船橋北高校で3年間教員をやりました。それから市立柏に戻る選択肢もありましたが、自分がOBである市立船橋高校の男子バスケ部顧問のお話があり、いろいろ考えた結果、現在の市立船橋高校に決めました。
市立船橋に赴任し、男子バスケットボール部の選手たちを初めて見たとき、身なりも髪型もプレイもかっこいい印象を受けました。もちろん実力はあるし、千葉県内では断トツで優勝し、全国大会でもベスト8ぐらい。県協会からも市船はせっかく強いんだから、身だしなみもしっかりさせてほしいと要望がありました。ただ子供たちはバスケットボールに純粋に一生懸命取り組んでいたので、私がいきなり行ってドカンと注意して、大きな化学変化でチームの空中分解が起こるよりも。多少選手のわがままを受け入れてあげながらやっていった方がいいかなと考えました。3年目ぐらいから徐々に自分のカラーを出していきました。

自分のバスケット選手経験から、身長が小さくても活躍する場面があるのが高校生のバスケットだと思います。高校1・2年生のときの自分を振り返ると、試合に出れない子たちの気持ちもわかる。高校3年のときを考えると、勝ち取って試合に出たとか選抜に選ばれた気持ちもわかります。
最初に女子の指導者になって、細かいことまでいろいろ考えた経験が男子を見るようになっても苦労しなかった理由だと思います。

キーワード③
最初に女子バスケを教えたことで、ベンチでのオーバーリアクションが生まれた!

新卒で市立柏高校へ赴任し、女子バスケ部の指導をするようになってすぐ、中村和雄先生(当時、共同石油の監督)がチームを見に来てくれました。「真剣にチームを強くしたいんです。どうしたらいいですか」と聞くと、「女子を男子化しなさい」とアドバイスをいただきました。その意味をずっと考えて、男と女の違いは何かを突き詰めた結果、まずは筋トレで肉体改造することだという答えにたどり着きました。男勝りの体幹、腹筋、背筋を作ること。千葉県内には高さと能力のある昭和学院がいたので、その高さに勝るパワーとスピードを追求しないといけないと、トレーニング量をすごく増やしました。
自分は男子の世界で選手としてバスケットボールをやってきました。だから女子のバスケは見たこともありませんでした。女子を教えるのは難しいぞ。そう先輩たちから聞いていたので、大学3年生のときから、女子バスケ部の先生たちが集まる勉強会に行っていました。富岡(現・金沢総合)にいた星澤先生や市立船橋の加藤先生などそうそうたるメンバーが来ていて、こんなにいろんなことまでしゃべってくれるんだというぐらい、試合の仕方から選手とのコミュニケーションまで。心理学や話術などの指導術をたくさん勉強させていただきました。

『叱る→教える→成功させる→褒める』のサイクルを僕は常に考えています。叱る→叱る→叱るというサイクルだったら、それは良いサイクルじゃないから、次の教えるに行ってないじゃないかと自問自答したり。成功させるのは本当に難しいです。選手が成功するのはいつかわかりません。1か月後かもしれないし、1年後かもしれない。でもその成功した瞬間を絶対に見逃さず「よーし!やったな!!」と褒めてあげる。これが大事だと思います。選手が失敗したときは立膝で選手よりも低い目線で話したり、後ろから背中をさすりながら話したり。大会前は選手たちにポジティブな暗示をかけたり。こういうことを考えながらやっていたら、ベンチでの振る舞いがオーバーリアクションになっていったんです。
練習の時、私はいちいちキャプテンや上級生を呼びません。近くにいる子にわざと小さい声で次にやる練習を伝えて、しっかりチームに伝達できるかを見ています。そこでしっかり大きい声で伝えられたら評価してあげて、もしできなかったら、お前はまだベンチメンバーの仕事は果たせないぞとアドバイスします。

キーワード④
将来の日本代表!ビッグガードの赤穂雷太を育成しつつ、市船を最高のチームに

今の市立船橋は赤穂雷太のポイントガード育成に取り組んでいるチームです。これだけのビッグガードは田中大貴(Bリーグ・アルバルク東京)選手以来です。両手でダンクをできるだけのトレーニングも積んできました。こんな194㎝もある次世代のビッグガードを育てることができる指導者が日本に何人いるか。今、私はそれにチャレンジしています。ただ、赤穂だけが凄い。チームは勝てない。これでは意味がない。だから赤穂を中心に、周りの選手もレベルアップする必要があります。赤穂以外がレベルアップすれば、市立船橋は最高に輝くチームになれますから。
新チームになって、赤穂をポイントガードにコンバートしたとき、もともとポイントガードをやっていた小さな子たちはがっくりするだろうなと思いました。だから選手たちに「ポイントガードを大きくするんだから、シューティングガードやスモールフォワードは小さくても良いと監督は思ってる」とすぐ伝えました。今までポイントガードだけしかやっていない子たちに2番と3番の2つのポジションが狙えるんだぞと、考え方を変えさせました。「チャンスが倍になったんだぞ」と(笑)だから今、スタメンに160㎝代が2人いて、赤穂だけじゃなく、誰がポイントガードやってるんだかわからない。読めないオフェンスを展開することができるようになってきました。

キーワード⑤
他が40点でも良いから、これだけは負けない100点を作ってほしい!

日本の高校生に言えることはなんでも器用にやろうとする子たちが多すぎるということです。教わったことを一生懸命取り組むことはできても、自らの発想で自分で考えて発信することができない。やっぱり表現力が足りないです。我を出す、自分の意志を味方に伝える、監督に届ける。
2年前ウインターカップ3位になったときの市立船橋はやんちゃ軍団とか呼ばれましたが、彼らは自己表現がとても豊かでした。なんか気づいたらこっちで喧嘩してるなとか、ライバル意識むき出しで練習中から戦ってるなとか。
やっぱり全部ができなくていいから、何か自分でこれが得意なんだとアピールできる職人プレイヤーが必要だと思います。それはバスケットボールだけでなく、今後の人生にも役立つはずです。

取材・文・写真:一柳英男


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