2017/02/27

宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS  【第2回】 NBAでプレーするモリース・ンドゥウール Vol.4 アメリカへの挑戦の勧めと日本でのキャンプの夢

アメリカで活躍するLA在住のスポーツライター宮地陽子さんによるコラム「宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS」
高校生世代やバスケ大好きな人のための最新USAバスケ情報満載で届します。
海外に挑戦する日本人バスケットボール選手などもちろんフォーカスします。

NBAのニューヨーク・ニックスでプレーする
モリース・ンドゥウール (岡山学芸館高校出身)

NBAニューヨーク・ニックス2番(以前は55番)、モリース・ンドゥウール(Maurice Daly Ndour)。特徴的なドレッドヘアで、エネルギッシュにプレーする彼はセネガル出身の選手だ。世界最高峰のリーグ、NBAでプレーするようになったンドゥールに、日本での高校時代を振り返ってもらい、NBAプレーヤーの目から見た日本バスケへの思いを聞いた。



インタビューの第4弾・最終回は、アメリカの大学でプレーする渡邊雄太選手、八村塁選手について語ってくれました。
さらに、「第二の故郷」としてンドゥウールが愛してやまない岡山学芸館高校への思い、そして日本でバスケに打ち込む多くの若きプレーヤーたちへの熱い思いも語ってもらった。

厳しいNBAのシーズン中でも、岡山学芸館時代の試合のDVDを時々見返してなつかしんでいるというンドゥウール(写真中央)


渡邊雄太選手、八村塁選手に続き、
アメリカでプレーすることに挑戦してほしい

──オハイオ大のときに、ジョージワシントン大の渡邊雄太と対戦したことがありますよね?(注1)日本の高校では対戦したことがなかったのに、アメリカで大学に入って、ハワイで開催された大会で対戦したという、何とも不思議なめぐりあわせでしたよね。

(注1)2014年12月、渡邊がジョージワシントン大1年、ンドゥールがオハイオ大4年の時、ハワイで行われた『ダイヤモンド・クラシックス』の1回戦で対戦。ンドゥールはスターターとして8点、5リバウンド、3アシストを、渡邊は控えから出場し、7点、4リバウンドをあげた。試合はジョージワシントンが77-49で勝利。


「そうなんだ。あの時、日本人選手がいるのを見て、すごく嬉しかった。特に嬉しいのは、日本人選手たちが何人かアメリカに来てプレーするようになったということだ。その経験は、彼らにとって必ずプラスになる。日本とはバスケットボールのスタイルも違う。ここで成長し、フィジカル面でも向上し、ただ走って試合をするだけではなく、バスケットボールについてより理解も深まるようになる。スキルや頭脳を使うことも覚えることができる。だから、彼があのチームでやっているのは、よかったと思った。

試合後に、日本語と英語を使って少し話をしたのだけれど、彼にお祝いの言葉をかけた。彼のことをこれからも見ていると言ったんだ。実は、今シーズンは彼の試合を見るつもりだ。彼のことは本当に誇りに思っている。

(ハワイで)あの試合をしたとき、彼は1年生だった。海外からアメリカに来た選手が1年で試合に出るというのは、本当に大変なことだ。それを見て、彼はやれると確信した。1年で平均10点、11点をあげていたからね。彼のことはプロ(NBA)の世界でも見たい。本当に、彼にはプロのレベルでやってほしいと思う」

──今シーズンは彼の他に、もう一人、日本人の選手がゴンザガ大にいます。

「この前、彼(八村塁)のことを知ったところだ。彼のことはあまり知らないけれど、この前、テレビで見た。日本人の選手も、もっとこっちに来るといいと思っている。それは日本のバスケットボールにとっても確実にプラスとなる。

それから、日本のコーチや協会の人たちも(変化が必要だと)気づいて、バスケットボールがより楽しいものになるように変えていってほしいとも思っている。厳格にやるのではなく、子供たち、選手たちが楽しんでプレーできるように。子供たちにとって、これは仕事ではないのだから。他の学校相手の試合なんだから、もっと楽しいものであるべきだと思う。本当に、そうなってほしいと願っている」


「日本で高校時代を送ったからこそ、今の自分がここ(NBA)にいる」と語るンドゥウール(写真/ゲッティイメージズ)


いつか日本で大きなキャンプを開き、
バスケの楽しさを子どもたちに伝えたい

──高校を出た後に、日本に戻ったことはありますか?

「日本を離れたときから、いつかは戻りたいと計画してきた。でも、毎年夏にはチームのトレーニングや、セネガルの代表での活動があったりで、まだ実現していない。でも、いつか、日本で大きなバスケットボール・キャンプをやりたいと思っている。今年か来年にはやりたいと思っている。やろうと計画しているんだ。

岡山の母校(岡山学芸館高校)に戻って、みんなに会って。そうなったら、色々な思い出がよみがえってくると思う。楽しみだ」

──以前より身体がたくましくなって、みんな、あなたのことをわからないかもしれないですね(笑)。

「そうだね。髪もドレッドにして、あの頃とは違うしね(笑)。でも、面白いことに、まだSNSのページでメッセージを送ってくれる人たちがいるんだ。『ガンバッテ』とかね。まだ日本の中に自分のキャリアを追ってくれている人がいるというのは嬉しい。だから余計に、日本に戻ってキャンプを開いて、子供たち相手に話をしたい。

僕がここに到達するまでのジャーニー、経験したことすべてについて話をしたい。バスケットボールについて話し、楽しむことを教えてあげたい。子供たちが若いうちに人生を楽しむことは大事だと思う。何か、特にスポーツに対してストレスを感じることなく楽しむことは大事だ。

日本の社会は小さい子供たちに多くを求める。一面では、それは成熟するということでいいことなのだけれど、別の一面ではよくないことだ。子供たちが、子供であることを楽しめないのだからね。僕は早くに大人になる必要があった」

──あなたは特に……ですよね。

「そうだね。僕は一人だったし、ずっと早くに大人になる必要があった。だからこそ、子供たちには人生を楽しみ、バスケットボールを楽しんでほしい」


取材・文/宮地陽子
NBA写真/ゲッテイイメージズ
写真協力/岡山学芸館高校


◆モリース・ンドゥウール Maurice Daly Ndour ◆

1992年6月18日、セネガル・ティエス州生まれ。
2008年に来日し、岡山学芸館高校に留学。
2011年に同校を卒業後はNBA入りをめざして渡米。
モンロー・カレッジ(ニューヨーク州)から2013年にオハイオ大に転校。
2015年のNBAドラフトは指名外だったが、2016年7月にニックスと2年間の契約を交わした。
ポジションはスモール・フォワード。
母国・セネガル代表としても2014年から中心選手として活躍している。

<<<著者/宮地陽子さんプロフィール>>>
東京都出身。LA在住。国際基督教大学教養学部卒業後、出版社勤務を経て、87年からシカゴ近郊に住居を移す。翌88年、NBAを中心にスポーツライターとしての活動を始め、以来、雑誌を中心に執筆活動。マイケル・ジョーダンをはじめとするNBAのトップ選手の取材や最近ではアメリカに挑戦する日本人バスケットボール選手の取材にも積極的に取り組んでいる。


シェアはこちらから!!

新着記事

高校バスケ特集企画

トップへ戻る