2017/08/12

宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS 【第3回】 テーブス海が挑んだAAU大会<Vol.2>

アメリカで活躍するLA在住のスポーツライター宮地陽子さんによるコラム「宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS」。
高校生世代やバスケ大好きな人のための最新USAバスケ情報満載で届けします。

第3回目は、マサチューセッツ州のノースフィールド・マウント・ハーモン高校(以下、NMH)に留学中のテーブス海選手へのインタビューです。
すでに6つの大学から奨学金のオファーを受けているというテーブス選手。ラスベガスで開催されたAAU大会『アディダス・アップライジング』でプレーする同選手に、この大会で求められていること、学んだことなどを聞きました。インタビューの第2弾をお届けします。

会場にはNCAA強豪チームのコーチだけでなく、未来のNCAAスターの片鱗を見せる選手を発掘しようとする大勢のバスケファンも観戦、声援を送った

テーブス海 インタビュー<その2>

AAUの試合で意識していること

──AAUのシーズンで学んだことは何ですか?

 「バスケットボールに関しては、コーチから多くのことを学びました。ポイントガードとしてチームをどう導くのかとか。今、控えから試合に出ている6番手、7番手の役割なのですけれど、コートに出たときには控えのメンバーを率いて、スターターが出ていた時と比べてレベルが落ちないようにする必要があります。チームメイトが得点できるようにどうアシストするのか、と同時に自分でも得点することを狙うことをコーチから学びました。

 日本でもブリッジトン(NMHに入る前に1年所属したプレップスクール)でもずっとスターターでやってきて、NMHでも昨シーズンの半分はスターターだったので、控え選手になることを学ぶことは簡単ではなかったです。いい選手が揃ったこのチームで今年プレーして、控えから出て、スターターとして出ているのと同じぐらい試合にインパクトを与えることを学ばなくてはいけませんでした。


昨年夏に続き、今年の夏も最後の重要な大会への出場が叶ったテーブス海選手

 控えからの出場だと試合の最初の10分はベンチからすべて見ているわけで、相手チームがどうピック&ロールを守っているのかとか、どうディフェンスに戻り、彼らのオフェンスがどんなプレーをしているのかとか、そういったことをアドバンテージとして使うようにしています。コートに出たときには、何が起きているかがわかっているわけですからすばやく理解する必要がありました。どの試合も競争が激しく、それについていけないようだったら置いていかれるだけです。AAUチームにも、大学コーチたちにも、言い訳は通用しません。彼らはただ単にいいプレーを見たいと思っているだけ。結果がすべてだということを、すぐに学びました」

──チームとしての組織的なプレーはほとんどなく、1対1ばかりというのが多くの人のAAUのイメージですが、所属しているプレイヤーズの試合はもう少し組織的なプレーをしますよね。

 「確かにうちはそうですね。でも、AAU全体としては組織的プレーではなく、ほとんど1対1ばかりです。みんな、大学コーチたちに自分が得点できることを見せようとしています。

 でも、そういったチームは大会で勝ち上がってはきません。うちのコーチは、チーム・バスケットボールをするようにと指導してくれています。大会のトップ4にまで勝ちあがるためには、チームとして戦う必要があります。でも、他のチームはほとんどが1対1ですね。それには、いい面も悪い面もあります。1対1ばかりやっていたら、それは本当のバスケットボールではないですし、大学コーチも、システムの中でどれぐらいできるかも見たいと思っています。ただその一方で、プレイヤーズのようなチームでプレーしているときは、(意識して)1対1もできるというところを見せなくてはいけないとも思います。そういったバランスが必要なんです。チームで戦う中でも1対1で得点できるのはいつかということを考える必要があるんです」


アディダス・アップライジングの大会全景。大会は多くのバスケファンから注目され、インターネットでの中継も多くの人が視聴している

奨学金のオファーと
大学コーチからのコメント

──AAUの間、オファーを受ける以外に、大学コーチたちからコメントを聞くことはありますか?

 「ほとんどないです。普通は『いい試合だったね』とか『君のプレーは好きだよ』といった励ましの言葉をかけてもらうぐらいですね。(NCAAの規則で)会場で直接会って話すことはできませんが、テキストメッセージや電話で話すことはできます。

 いったんオファーをもらい、その大学のコーチとの関係を築いたら、もう少し違ったフィードバックをくれることがあります。UNCW(ノースカロライナ大ウィルミントン校。テーブスが奨学金オファーを受けている学校の一つ)のコーチはよくテキストメッセージを送ってくれて、きょうも、試合後に感想を送ってくれました。それがオファーをもらうことのいいところです。オファーをもらった後にはコーチとの関係を築くことができ、それによって、どのコーチが自分に合うかを決めることができます」

――現時点でオファーを受けている4校(※※)のコーチたちは、あなたがAAUでプレーしたのを見て奨学金をオファーしてくれたと思いますか? それとも、NMHのシーズン中のプレーによってのオファーでしょうか?

   (※※)取材時点ではブラウン大、バックネル大、ノースカロライナ大ウィルミントン校、プレスビテリアン大の4校から奨学金のオファーを受けていた。その後、さらにウォフォード大、デラウェア大からもオファーされ、8月11日時点では6校のNCAAディビジョンⅠチームから奨学金のオファーを受けている。

 「半々だと思います。バックネル大とブラウン大はNMHでプレーしているときにオファーをくれました。UNCWとプレスビテリアン大は、AAUシーズンの間にオファーをもらいました。 

 アメリカでプレーしていたら、自分が何をできるかを大学コーチに見てもらうチャンスは年間を通して、常にあります。ただ、オファーをもらうには安定していいプレーをする必要があります。僕が去年、オファーをもらえなかった理由は、活躍して、大学から興味を持ってもらえて、『君の次の試合には行くよ』と言われることはあったのに、その試合では調子が悪かったからだと思います。大学コーチたちは、安定して力を出していると思わない限り、オファーはくれません」

AAUではコンスタントな力をコートで示すことが求められる。それによって大学コーチからの評価も高くなる

──AAUでプレーしていなかったら、オファーも半分だったと思いますか?

 「そう思います。日本人選手がアメリカに来るのなら、ぜひAAUでプレーすべきだと思います。高校のシーズンが3月に終わって、その後、10月まで試合がないから、AAUでプレーしなければ夏の長い間、大学コーチに見てもらえないことになります。大学コーチたちはその間にプレーするのを見たいと思っています。その間にオファーがなくても、AAUでプレーして名前を表に出すことはいいこと。そうすることで大学から少なくとも興味を持ってもらえますから」

──だから、去年の夏に日本代表(U18)の活動よりもAAUでプレーすることを選んだわけですよね?

 「そうです。代表でもプレーしたかったから、難しい決断だったけれど、僕がアメリカに来たのはディビジョンⅠの奨学金を得るためなので、それを達成するまでは戻れないと思っていました。AAUでプレーしなかったら、オファーを得られないかもしれないとも思ったので。

 FIBAの大会でトッププレーヤーなら、大学コーチも見てくれるだろうと思います。ただ、FIBAの大会では見てもらえても5試合ぐらい。AAUならもっと多くの試合を見てもらえます。露出も多くなり、見てもらえるチャンスが多くなる。それが、(代表活動より)AAUでプレーすることを選んだ理由です」

◆インタビュー<Vol.3>に続く

取材・文・写真/宮地陽子


コートに出たときにどう流れを変え、相手に対応していくか。控えメンバーとしてゲームをどう読んで適応力を示すのかも査定される

◆テーブス海<Kai TOEWS>プロフィール

1998年9月17日、兵庫県生まれ。
カナダ人の父と日本人の母の下に生まれ、
バスケの名門・東洋大学京北高校(東京)に入学。1、2年とインターハイに出場した。
2013年にU15日本代表選手、2016年にはU18 日本代表候補にも選出された。
2015年夏に単身渡米、メイン州のブリッジトン・アカデミー校で活躍し、2016年にマサチューセッツ州の強豪プレップスクール、ノースフィールド・マウント・ハーモン校に転校。
2016-17シーズンは全米準優勝を遂げる。
テーブスはスピードにあふれたポイントガードで、得点力も兼備。
父は富士通レッドウェーブHC(Wリーグ)、サンロッカーズ渋谷HC(B.LEAGUE)を経て、2017-18シーズンは富山グラウジーズ(B.LEAGUE)のアシスタントコーチを務める。
身長186㎝、体重85㎏。


◆次回Vol.3では、アメリカの高校に留学し「AAUバスケット」でプレーを希望する選手へのアドバイスも話してもらいました。(8月13日掲載)

◆ADIDAS UPRISING(アディダス・アップライジング)公式サイト

宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS:バックナンバー】

◆【第3回】 テーブス海が挑んだAAU大会<Vol.1>

◆【第2回】 NBAでプレーするモーリス・ンドゥウール<Vol.1>

◆【第1回】 「プレップスクール」とは


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