2017/08/13

宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS 【第3回】 テーブス海が挑んだAAU大会<Vol.3>

アメリカで活躍するLA在住のスポーツライター宮地陽子さんによるコラム「宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS」。
高校生世代やバスケ大好きな人のための最新USAバスケ情報満載で届けします。

第3回目は、マサチューセッツ州のノースフィールド・マウント・ハーモン高校に留学中のテーブス海選手へのインタビューです。
ラスベガスでのAAU大会『アディダス・アップライジング』に挑んだテーブス選手。大会でのプレーを通してNCAA強豪校のコーチたちに自分をアピールしていくことはすでにお伝えしました。インタビューの最終回、第3弾をお届けします。


ミスを怖れず、常にアグレッシブなプレーを見せたテーブス海選手(左)

 

テーブス海 インタビュー<その3>

AAUチームでの練習について

──このチームでは練習をしますか

 「ほとんど練習はしませんが、それでもAAUの中では練習が多いほうだと思います。ほとんどのAAUチームは単に試合をしているだけ。それもいいと思うけれど、僕らのチームは組織的で、セットプレーやディフェンスの決まり事もあるから、練習はします。

 練習は不定期で、たとえば試合が1週間なければ、その間に1回か2回。4月のピリオドが始まる前には、2回ぐらい練習をしました。ひどい試合をして、試合の間に1日あいていたら、その日に練習することもあります」

──練習が少ないと、試合をしながらすぐに修正することも必要ですよね?

 「その通りです。やってみて、それが、アメリカの選手たちが得意なことのひとつだということにも気づかされました。彼らはどういった環境、どういった状況であってもぶれない。すぐに適応して、やるべきことを成し遂げます。それは、僕ももっとうまくやれるようにならなくてはいけない点だと思います。日本とは違うやり方だけれど、どっちが悪いと言うつもりはないです。どちらもいい点があると思っています」


ヘッドコーチからアドバイスを受けるテーブス選手

アグレッシブなプレーこそが評価される!

――最後に今後、アメリカに出てきてAAUでプレーしたい日本人選手に、チームの選び方やプレーのしかたなどのアドバイスをください。

 「AAUチームを選ぶためには、自分が行くアメリカの高校やプレップスクールのコーチに相談することです。アメリカに来る多くの日本人選手はプレップスクールに行くと思うのですが、そこのコーチはAAU関係者や、AAUチームを知っているはずです。

 いったんチームに入った後は、チームのやり方にもよるけれど、まずは自分ができることを最初からすぐにやって見せることだと思います。  僕もチームに入ってすぐは躊躇(ちゅうちょ)してしまって、ミスを犯さないように、安全にプレーしてしまいました。でも、そうすると第一印象で安全なプレーしかできない選手だという印象を与えてしまい、後からアグレッシブなプレーをしようとしたら、『自分らしくないプレーをするな』と言われてしまいます。だからアドバイスとしては、最初からアグレッシブであること。アメリカでは選手がアグレッシブであることを評価してくれます。それと同時に、自分のチームがやろうとしていることにすぐに適応すること。そのチームがやろうとしているオフェンスの中で自分のプレーをすることです。

 ほとんどのAAUチームは、1対1での攻撃中心のチームだと思います。そういうチームなら、できる限りアグレッシブに、自分のプレーを見せること。チームオフェンスのことは考えすぎないこと。大学のコーチたちは、(AAUで)試合に勝つか負けるかはたいして気にしていません。ミスを気にしたり、チームのことを気にしたりする必要はありません。ほとんどのAAUチームは選手にとってアピールの場で、実際に大学からオファーを受ける選手のほとんどは、アグレッシブにプレーし、自分をアピールできた選手なんです」

──日本から来たばかりの選手にとって、それが一番難しいことですよね。

 「そうですね。それだけに、1年だけで大学に認めてもらうプレーをするのは難しいです。僕も最初にアメリカに来たときに、(他の日本人選手に比べて)英語の面の苦労がなかったと言われて、確かにそれはそうだったのだけれど、いつも自分をアピールし、アグレッシブでいることに慣れていないという点では苦労しました。

 ユウタ(渡邊雄太)やルイ(八村塁)のように高いレベルの選手たちは、アメリカで1年だけか、あるいはまったくプレーせずにディビジョンⅠの大学に行くことができましたが、彼らほど才能があるわけではなかったら、(大学に入る前に)2年は必要だと思います。そして、その場合はAAUでプレーする必要があります。実際、僕もそうでしたから」


試合前、会場の隅でヘッドコーチから話を聞くニューイングランド・プレイヤーズのメンバー。右から2人目、腰を下ろしているのがテーブス選手

  *   *   *   *   *

 テーブスが提言するように、大学入学前に最低2年間の留学期間を取るためには、遅くても高校3年になる前にアメリカに留学する必要がある。高校3年になる前に渡米すれば、テーブスのように学年をひとつ下げるなどして、アメリカの高校またはプレップスクールで2年間過ごすことが可能だ。

 現実問題として、それは簡単なことではないかもしれない。それでも、テーブスのように英語ができる選手であっても、アメリカ人選手の中で自分の力を出せるようになり、ディビジョンⅠの大学から認めてもらうまでに1年以上の年月がかかり、さらに複数のオファーから選べるようになるまでには2年近くかかったということは知っておくべきことだ。日本人選手にとって、アメリカで乗り越えなくてはいけない壁は英語力だけではないのだ。

 さて、テーブスが所属したニューイングランド・プレイヤーズは、ラスベガス大会で勝ち進み、決勝まで進んだものの、決勝戦でバージニアのチーム・ローデッドに2点差で敗れて準優勝に終わった。

 もっとも、テーブスの言うようにAAUシーズンで最も大事なのは試合に勝つことではない。大事なのは、いかに大学コーチに自分のプレーを認めてもらえるか。その点で、テーブスの2年目のAAUシーズンは大きな成果をあげた。テーブスはAAUシーズン中だけで2校、AAUシーズン終了直後にさらに2校のNCAAディビジョンⅠチームから奨学金オファーを獲得。AAUシーズンが始まる前に得ていた2校と合わせて、合計6校から奨学金のオファーを受けている。その中から自分にあうチームを選べる立場になったのだ。2年前にアメリカに出てきたときに掲げていた「NCAAディビジョンⅠでプレーする」という目標に大きく近づいた夏だった。ラスベガスでのAAU大会が終わった後には、熱心に勧誘されているノースカロライナ大ウィルミントン校を公式訪問、秋からは始まる高校最後のシーズンの開幕前には進路を決めるつもりだという。


取材・文・写真/宮地陽子

6大学から奨学金のオファーを受けているテーブス選手。自分の夢に向かって着実に歩んでいる様子がうかがえる

◆テーブス海<Kai TOEWS>プロフィール

1998年9月17日、兵庫県生まれ。
カナダ人の父と日本人の母の下に生まれ、
バスケの名門・東洋大学京北高校(東京)に入学。1、2年とインターハイに出場した。
2013年にU15日本代表選手、2016年にはU18 日本代表候補にも選出された。
2015年夏に単身渡米、メイン州のブリッジトン・アカデミー校で活躍し、2016年にマサチューセッツ州の強豪プレップスクール、ノースフィールド・マウント・ハーモン校に転校。
2016-17シーズンは全米準優勝を遂げる。
テーブスはスピードにあふれたポイントガードで、得点力も兼備。
父は富士通レッドウェーブHC(Wリーグ)、サンロッカーズ渋谷HC(B.LEAGUE)を経て、2017-18シーズンは富山グラウジーズ(B.LEAGUE)のアシスタントコーチを務める。
身長186㎝、体重85㎏。

【宮地陽子の最新USA高校バスケPRESS:バックナンバー】

◆【第3回】テーブス海が挑んだAAU大会<Vol.1>

◆【第3回】テーブス海が挑んだAAU大会<Vol.2>

◆【第2回】 NBAでプレーするモーリス・ンドゥウール<Vol.1>

◆【第1回】 「プレップスクール」とは
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