2017/08/14

2017インターハイ 【明星学園】 3-2ゾーンで台風の目となって4強入り


大会に入ってから1戦ごとに3-2ゾーンの威力が増していった明星学園(オレンジ)。準決勝では桜花学園も苦戦した

 女子で台風の目となったのは明星学園(東京)だった。3回戦では第2シードの大阪薫英女学院(大阪)を撃破し、準々決勝では安城学園(愛知)を下して2年ぶりのベスト4入り。準決勝でも桜花学園(愛知)を苦しめた。

 今年の明星の武器は3-2ゾーンを軸とするゾーン・ディフェンスと、相手のスキを突いた合わせプレーの上手さ、そして粘り強さだ。薫英戦でもこのゾーンが効いた。準決勝の桜花戦でも立ち上がり、このゾーンが威力を発揮してリードを奪う。2Qに入ると桜花の個人技の上手さに先行を許したが、3Qでは桜花の守りの甘さを突いて連続して加点、3分過ぎには逆転に成功する。その後も桜花が明星を突き放そうとするが、明星のガード陣がアグレッシブにドライブを仕掛けて、一歩も譲らなかった。最後は、桜花の堅い守りの前に63-70で敗退したが、明星のあきらめないバスケットは大いに目を引いた。

 「選手はがんばったけれど、昨日(準々決勝)の安城戦でゾーンを3種類も使って疲労があり、選手を交代することでチグハグになり、ゾーンに穴が出てしまった。よくがんばっていたんだけどね」と、苦笑いする明星の椎名眞一コーチ。桜花の壁を突破することはかなわなかったが、ベスト4入りには納得している様子だった。
 「大会前に大学生チームと練習試合をして、ゾーンがかなりよくなっていたので、自信はあった。目標とするチームをひとつずつ順調にやっつけてきたからね。選手はよくがんばったよ」と話す椎名コーチだ。


センターの#14パレイ紀子は、トンガとニュージーランドの血を引くハーフ。短いプレータイムながら、シュート、リバウンドに確かな数字を残した。今後の成長が期待される一人だ

 今年の明星は図抜けた選手はいないが、誰が出ても短いプレータイムでチームに貢献する仕事をやる選手が揃っていた。中でも、身体の強さを生かしてゴール下で強さを見せたのが、#14パレイ紀子(181㎝/3年)だ。バスケットのキャリアが浅く、まだ体力や脚力が足りないためプレータイムは長くはないが、薫英戦でも桜花戦でもパレイのゴール下シュートやリバウンドは効果的だった。

 さらに準決勝で11点ビハインドの4Q、しつこく桜花に食い下がって3点差まで詰め寄ったのは、ガード陣の活躍だった。#5安藤舞香(3年)は162㎝ながら持ち前のスピードで果敢にドライブを切ってバスカンをもらうなどして3点差まで詰め寄る原動力となった。#6栗田有子(170㎝/3年)もスティールからの速攻やドライブで加点し、桜花に必死に食い下がった。椎名コーチによれば「栗田はこの試合で初めて開花した」と言うほど、終盤の強気のプレーは安藤とともにチームを大きく牽引した。

フィジカルの強さと合わせプレーの上手さが光る

 明星で目を引いたのは、ガード陣も含めて全員がフィジカルの強さを見せたことだ。明星は、頻繁に選手を交代させてゲームを進めたが、出てくる選手がしっかり自分の仕事をしてベンチに戻っていく。武器であるゾーンが効いたのも大きいが、オフェンスではスピードあるドライブや、そのドライブからの合わせがうまく、対戦相手はなかなかそこを止めることができなかった。

 フィジカルの強さを安藤に尋ねてみると、「これまでもウエイトトレーニングをしてきたが、自分たちの代になって『まだまだ足りないね』と自覚したので、先輩たち以上に工夫してやっている」と話す。

 「朝練や放課後の練習前に、短い時間ですが工夫してやっています。体幹トレーニングも、チームとしてやる時間の他に、個人で足りないと思ったら自主的にみんなやっています。自分もまだまだ当たり負けしているなと今大会、感じました。ドライブで抜いていっても、身長がないのでブロックされたら終わり。ウインターカップまでには、そこで当たり負けしないようにまた鍛え直していきたいです」と安藤は話す。
 162㎝ながら、ブロックを怖れずに果敢にドライブをしかけた安藤の強気のプレーが光っていたが、準決勝の終盤は桜花の堅い守りの前に、今ひとつシュートを決めきれなかった。


スピードある果敢なドライブで相手を翻弄した#5安藤舞香。その強気なプレーで観ている者を魅了した

大きな武器となった3-2ゾーン

 明星がベスト4入りできた大きな要因として、3-2ゾーンが挙げられる。薫英も、桜花もこのゾーンに手こずった。#5安藤は「変形ゾーンなので、ローポストへのパスカットをねらいやすい」と言う。

 「最初の頃はうまくコミュニケーションがとれず、守りがかぶったりしていましたが、練習を重ねてコミュニケーションがとれるようになるにつれて、ゾーンの威力が増していきました。戦っていても、手応えがあり、(ゾーンが)効いているなと感じました」(安藤)

 東京都予選のときにはまだまだ未完成だったこのゾーンが、大会に入って試合を重ねるたびに威力が増してきたと、椎名コーチも語る。このアグレッシブなゾーンを武器に、明星は薫英戦も桜花戦でも、スティールからの速攻を繰り出した。相手のミスを誘うこのゾーンでは、ボックスアウトなども徹底し、リバウンドやルーズボールでも強さを見せた。椎名コーチはゾーンの完成度については「まだまだ」と語り、さらに先を見すえている。

「センターの#14パレイにマンツーマンをやれる脚がないので、今年はゾーンで勝負している。もっとパレイを使えるようになれば、さらによくなっていくはず。ウインターカップを目標に、さらに鍛えていきますよ」と話す椎名コーチ。

 ガードの安藤も、この夏の手応えをかみしめながら、次の舞台へ負けん気をのぞかせる。
 「このゾーンをもっと激しい守りにできるよう、さらに磨いていきます。オフェンスではシュートの成功率をチームとしても個人としても高めていきたい。ウインターカップで、ぜひリベンジしたいです」(安藤)

 東京都3位代表でノーシードから4強入りを果たした明星学園。薫英に勝利したのがフロックではなかったことは、その後の明星の戦いにもよく現れている。6月の関東大会から大きな進化を見せたチーム力は高く評価されよう。今後は侮れないチームとしてどこからもマークされるはずだ。

ゾーン・ディフェンスをブラッシュアップさせてベスト4となった明星学園。名伯楽・椎名コーチの手腕はさすがだった

準決勝では、後半11点のビハインドを3点差まで詰めた明星学園。タイムアウトでも笑みがこぼれた

取材・文/舟山緑
写真/一柳英男
写真/若生悠貴


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