2017/08/30

2017インターハイ 【広島皆実】 走るバスケットで初のベスト8入り


ともに鍛えられた脚力をもつチームの対戦となった広島皆実vs福岡第一の一戦。最後はセンターの高さと選手層の厚さで福岡第一に逃げ切られてしまう

接戦を制して初のベスト8入り
福岡第一を慌てさせた
広島皆実の走るバスケット

 鍛えられた脚力で攻守に思い切りのいいバスケットを披露したのが広島皆実だ。準々決勝では、昨年の覇者である福岡第一を前半は6点リード。3Qは点差を詰められながらも踏ん張って54-54のイーブン。4Qで福岡第一に一気に走られて敗れたが、堂々の戦いだった。

 「試合前に確認しあったのは、相手の名前にひるむことなく、自分たちがやってきたバスケットを全部出し切ろうということ。ディフェンスからブレークで確実に2点を取っていくバスケットです」と話すのは、広島皆実のキャプテンであり司令塔の#4原未来斗(みくと)だ。
 「相手は昨年の王者ですが、今大会は1、2回戦ともに楽に勝ってきていたので、競った展開になると焦るんじゃないかと思っていました。だから、前半でリードするぐらいの勢いでいこうと話し、実際にそれができました。予想どおり相手が焦っているのが分かりましたから」(原)

 今年の広島皆実は、#5小川俊哉と#4原が1年次からの主力で、#7大道拓将、#8深渡瀬海(191㎝)も昨年からスタートを務め、鍛えられた走力と上手さを持ったチームに成長した。さらに4月から1年の#10三谷桂司朗(189㎝)が加わったことでさらに戦力がアップした。


広島皆実は前半、#8深渡瀬海と#10三谷桂司朗の2人が上手く相手センターを外に引き出す攻めと守りを見せ、主導権を握った

 これまで全国大会ではベスト16が最高だったが、この夏は初のベスト8入り。2回戦で東海大付諏訪(長野)を走りきって下し、3回戦では留学生センターを擁する高知中央を接戦で振り切って勝ち上がった。特に高知中央戦では、203㎝の相手センターを外に引き出して2対2で攻める策が功を奏した。それは福岡第一戦でも同じだった。

 「留学生相手でもひるまずにドライブで切っていくプレーをすること。シュートを決めきるのが一番ですが、シュートが入らなくてもファウルがもらえるので、そこは思い切っていきました。これまで様々なチームと練習試合をしてきて、相手が大きくてもドライブすることの重要性は分かっていたので、とにかくひるまずにアタックすることを意識しました」
 原がそう語るように、広島皆実は序盤から果敢な攻めを見せ、2Qではゲームの主導権を握ってリードを奪ったのは見事だった。

 今年の3年生は昨年の地元インターハイのために、1年次から様々なチームと練習試合をこなし強化を図ってきた。だが、昨年のインターハイは初戦で八王子一(東京)の前に敗れ、ウインターカップでは、優勝した福岡第一の前に3回戦で敗退と、悔しい思いをした。

 「今大会は去年までの恩返しをしなくてはと思ってきました」と話す藤井貴康コーチ。そうした“強化の財産”が、今年のチームには蓄積されている。ディフェンスからブレークに全員が走れる鍛えられた脚力を持ち、また合わせプレーも抜群の呼吸で、どこからでも点が取れるのが強みだ。キャプテンの原も「お互いに間とかタイミングがよく分かる。去年から試合に出ているので、どんな試合展開でも慌てずに落ち着きというか対応力が身についたと思う。これもたくさんの経験をさせてもらったから」と話す。

 準々決勝で優勝候補の一角である福岡第一から前半リードを奪い、3Qでもイーブンの勝負が出来たのは、そうした経験値が大きくものを言っていた。

 さらにチーム躍進の大きな原動力になったのが、1年の#10三谷の存在だ。1回戦からコンスタントに2ケタ得点をマーク。高知中央戦は、#8深渡瀬がファウルトラブルに見舞われたが、三谷が留学生センターを巧みに守り、攻めてもチームハイの24得点をあげて勝利に貢献した。特に目を引いたのは、1年とは思えない落ち着きぶりとシュートの上手さだ。内外角ともにこなす深渡瀬とのハイロープレーなども冴え、三谷はこの夏、試合ごとに確かな成長を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。


上手い合わせプレーでどこからでも得点が取れるのが今年の広島皆実の強みだ。アグレッシブなドライブやミドルショットで得点を重ねた#5小川俊哉

 3Qを同点で終えた福岡第一との一戦は、4Qに入ると相手に一気に走られてしまい、勝負が決した。福岡第一が留学生センター2人をはじめとしてメンバー交代を頻繁に行ったのに対して、広島皆実はスタートの5人がフル出場で応戦した。勝負どころの4Qで相手にスパートされた場面は、選手層の差と勝負強さが一気に出てしまった。

 「福岡第一さんが終盤、一気に走ってきたのは流石でした。選手には、必ずどこかで相手のギアが入ってくると伝えていました。それが4Qの頭にきた。せっかく昨年の王者と対戦させてもらっていたので、あの場面は小手先ではなく、王道でやり合おうと選手には言いました。ここでの戦いが、この後の国体やウインターカップにつながると思ったからです。終盤、脚が止まって勝負ができなかったところは、今後への“宿題”をいただいたかなと思います」
 そう話す藤井貴康コーチ。福岡第一相手に堂々とわたりあった選手たちを「褒めてやりたい」とねぎらった。

 キャプテンの原も「相手のギアの入り方、走力が一枚上でした。自分たちもハリーバックはしていたが、最後にきちっとシュートを決めてきたし、ねじ込まれてしまった。そこは相手の気持ちがちょっと上だったかなと思います」と話す。

 小手先でなく、真っ向勝負をして戦う。その言葉どおり、広島皆実は最後まで自分たちのバスケットを貫き通して戦った。最後は福岡第一の底力の前に力尽きたが、この夏は「初の8強入り」という飛躍の夏となった。

 「ベスト8に入ったことで、これからは広島皆実を倒そうと追われる立場になります。ウインターカップまでにオフェンスもディフェンスももう一回強化して、足元を見ながら初戦から集中して戦っていきたい。ベスト8で満足せず、冬はベスト4を目指し、メインコートに立っていい形で終わりたいです」
 キャプテンの原はそう意気込みを語る。

 昨年のインターハイでは果たせなかった8強入り。1年遅れで強化が実った夏となった。さらなる高みに向かって、広島皆実は既に走り出している。


高さある相手にも、ひるむことなく果敢な攻めと守りを見せた広島皆実。司令塔の#4原未来斗


3回戦では203㎝の留学生センターを擁する高知中央に粘り勝ちした

エントリー外のメンバーは応援席でチームを常に後押しして盛り上げた



取材・文/舟山緑
写真/一柳英男

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