ウインターカップ2017【龍谷富山】アクシデントが襲うも、今いるメンバーで思い切って戦った
立ち上がり、留学生のニアン ンディ・クンバを有し、高さを誇る一関学院にリードを許すも逆転に成功した龍谷富山(富山)だったが、第3ピリオド中盤にインサイドを一関学院が支配し、再逆転で初戦敗退となった。
悔し涙を浮かべながらも、最後の集合写真をコートエンドで撮影しているなかに、キャプテンの#4中島南海とチームの大黒柱である#7土田茉奈の姿がなかった。普段はスターティングメンバーとして龍谷富山を支える2人だが、この日、東京体育館に姿を見せることはなかった。
事件は前日の夜に起きた。最後のチーム練習を終え、一関学院のゾーン対策を練り、「”いろいろ試してみよう」と翌日の戦いに闘志を燃やしていたが、その夜に体調不良者が続出。翌朝までに5人が原因不明の胃腸炎になってしまい、試合ぎりぎりまでホテルで休んでいたが体調が戻ることなく、東京体育館へ足を運ぶことが出来なかった。
この5人のうち、シューターが1人、インサイドプレーヤー4人。この日のために練ってきたインサイド対策がすべて白紙になった。
「最初は信じられなかったけれど、現実を受け止めて、今、いるメンバーで思い切ってできることを全力でやりきろうと試合に臨みました。負けてしまって申し訳ない気持ちもあるけど、まずはみんなの気持ちを背負って思い切ってできたことをホテルで待っているメンバーに伝えたい」と#5倉田玲望が試合後に語った。
「最後に3年生全員で戦えなかったことが、本当に悔しいです」と悔し涙を浮かべながら語ったのはマネージャーとしてチームを支える川島沙樹。彼女は入学後、前十字靭帯を痛め2回にも及ぶ手術を行ったが、2回目が2年の冬であったため、復帰後の残り期間や本人の負担を考え長野悟巳コーチが「マネージャーとしてベンチに入らないか」と声をかけた。
「バスケをやるために龍谷に来たのに、ショックだったし、悔しかった」と彼女は当時を振り返った。マネージャーには、マネージャーの責任がある、とサポート側へ割り切っていたが、心のどこかで「自分だってコートで、プレイしたいのに・・・」思うことも多々あった。サポートをしていくうちに、理学療法士への道を目指そうと志を持ち、春からは専門学校へ通う。
「今年のメンバーたちは、いろいろ手の掛かるメンバーでした。インターハイで負けたときに子どもたちの意識が変わり、ウインターまで来ることができました。今があるのも3年生のおかげです」と長野コーチは、3年生たちのこれまでの努力を労い東京体育館を後にした。
大きなアクシデントがあったが、自分たちにできることを最大限に発揮し記憶にのこる試合を見せてくれた龍谷富山に健闘を称えたい。
取材・文/若生悠貴 写真/一柳英男新着記事
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