
ウインターカップ2017【中部大第一】縁の下を支えた目立たない3年生
■ 12/27 男子準々決勝 中部大第一 71-74 福岡第一■

男子・準々決勝、福岡第一と中部大第一の戦いは大接戦の末、74-71で福岡第一に軍配が上がった。残念ながら準決勝へ進めなかった中部大第一。ただ、その中に興味深い選手を見つけた。彼の名前は3年生の#6張本正登。188㎝のパワーフォワードだ。
張本の個人成績は「2得点5リバウンド2スティール(途中出場21分間)」。決して良い数字とは言えない。しかも自分のパスミスからアンスポーツマンライクファウル(スポーツマンシップに反するファウル)を取られてしまったことも相手にペースを握られてしまった一因でもある。しかしだ。彼の数字に表れない貢献は計り知れない。このことに気付いている人が一体何人いるだろう。
2Q絶妙のポジショニングから相手のチャンスになりそうなプレーを2度スティール。中部大第一の流れを作った。また、オフェンスリバウンドをつかむことはできなくても、必ずボールに触り、相手の速攻を遅らせた。ローポストからセンターを生かすスクリーンをかけたり、プレーは非常に地味だ。だが、張本が良い流れを作っていることは間違いない事実だ。
米・NBAのスターであったシカゴ・ブルズのマイケル・ジョーダン。彼は1試合30得点平均を取る偉大な選手だった。だが、彼の活躍は一人で成しえたことではない。2度目の3連覇を成し遂げた1996~1998年で考えれば、デニス・ロッドマンがリバウンドやルーズボールに跳び込みオフェンス機会を増やし、ルーク・ロングリーがスクリーンをかけてくれていたのだ。

試合後、張本に自身のプレースタイルについて話を聞いた。
「ひとつひとつのリバウンドを大事にして、相手よりも強くリバウンドを取ることを意識して今日は挑みました。自分たちの方ができるところを見せたかったですが、福岡第一の方がリバウンドひとつとっても強かった。高校バスケは終わってしまったけど、次のステージ(大学)でも頑張りたいです」
常田健コーチは張本の印象を次のように語った。
「チームの中で、張本はリバウンドを頑張るプレイヤー。リバウンドやスクリーンなど、泥臭いことをやってくれる縁の下の力持ちがいるから今の中部があります」
残念ながら張本のスティールやルーズボールに会場から大歓声は上がらなかった。だが、泥臭い仕事は体力的にも精神的にもものすごく疲れる。きついし、とても割が合わない。その仕事を嫌がらず、チームの為にひたすら走り続ける張本のような選手にもっと光が当たっていいし、大声援を送るべきだ。
文/一柳英男 取材・写真/若生悠貴
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