2019/01/1

ウインターカップ2018【県立市川】闘病中のチームの母‐まこねえ‐。外泊許可を得てウインターカップへ

4年ぶり5回目の出場となった山梨県代表・県立市川と、念願の初出場を果たした大分県代表・別府溝部との1回戦は、別府溝部がスタートダッシュを切り前半でおよそ20点ものリードを奪った。

205cmの身長を誇るウガンダ人留学生ザリメンヤ・カトウ・フセインが圧倒的なリバウンド力を見せつけ県立市川を封じ込もうとするが、機動力を活かした激しいディフェンスでターンオーバーを誘い、足を使いながらも“走らないバスケット”で別府溝部のオフェンス回数を減らし確実に点を狙う作戦の市川。第4クォーター残り1分30秒で77--76の逆転に成功。しかしその後、またもや3点のリードを奪われる。終了間近、チーム一の3ポイントシューター#24太田大稀にチームの想いをのせたボールが託され、放った3ポイントは惜しくも外れてしまい、別府溝部が初出場にして劇的な初戦突破を飾った。

初戦敗退となってしまった県立市川は、チーム一丸となり戦い切った。チームとは、“コーチ、アシスタント・コーチ、交代要員、5回のファウ ルを宣せられたチーム・メンバー、チーム関係者”とルール上なっている。トレーナーはチームに認められておらず、緊急時以外は、ベンチから2m以上離れた場所に設けられたエリアの中での活動に限られる。

県立市川で“まこねえ”と親しみ呼ばれている小松雅子トレーナーは、常に選手と寄り添いとともに戦うチームの一員。選手から、「次はいつ来るの?」と直接連絡が来るほど近く頼られている存在だ。

そんな“まこねえ”の右目に痛みが走ったのは今年の2月。日常生活もままならないほどの痛みだった。病院で診断を受けた結果は、甲状腺の病気であるバセドウ病と診断された。しばらく入院しチームに戻って来たが、ウインターカップ予選中に再び体調を崩してしまう。バセドウ病の再発かと思われたが、診断結果は厚生労働省により特定疾患に指定されている重症筋無力症だった。重症筋無力症とは、疲れた筋肉が回復しにくく、朝方よりも時間が経った夕方になれば症状は重くなる。時間をあければゆっくりではあるが、徐々に回復していく。

2ヶ月間入院を余儀なくされた“まこねえ”。入院の日程を調整し、ウインターカップ当日だけでもチームに帯同できるように病院掛け合った。3年間一緒にいた子どもたちの最後の舞台を共にしたい」という彼女の強い想いに病院側は、本来ならば認められない2日間の外泊許可を出した。

今までと同じようなクオリティでの仕事はできないが、吉川コーチから「チームにいてくれればいい。“まこねえ”がいることがチームにとってお守りだから」と伝えられた。子どもたちからすれば、謂わば、チームの母のような役割を担っている。

先生や保護者とぶつかることがある、選手と一番近い場所に寄り添い、ずれを減らし、心のストレスを軽減することで、怪我をしにくく治しやすくなるという。現状のルールではトレーナーはベンチエリアに入ることが認められていないが、“‐if‐いちかわふぁみりー”の名の如く、これまでチームを支えてくれた“まこねえ”のことを、これまでもこれからもその力を必要としている。選手・チームスタッフ・保護者一同支え、チームが一つになって、再び全国大会を目指す。

文・写真/若生悠貴


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