2019/12/27

【WC2019】高校バスケットの醍醐味を表現した津幡の復活劇


「ディフェンスとルーズボールは試合で裏切らない」と話す、県立津幡主将#4小山里華

 SoftBankウインターカップ2019(第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会)は複数コートで一斉にゲームが進行するためすべてのゲームをチェックすることはできないが、今大会の「名勝負」に挙げて間違いないのは、ベスト8をかけて争われた3回戦、大阪桐蔭(大阪)対津幡(石川)の激闘である。

 一昨年の覇者・大阪桐蔭が#7大崎莉瑚(3ポイントシュート4本を含む25得点)の活躍で序盤からリードを奪う、一方的な展開。優勝経験のある強みを生かし、そのまま一気に突き放すかと思われた。

 が、津幡があきらめない――。

 必死のディフェンスを継続し、攻めても4本の3ポイントシュートをタイムリーに沈めて14得点を奪取したキャプテン#4小山里華が追撃時の心境をこう語る。

「ディフェンスとルーズボールは試合で裏切りません。粘り強いディフェンスを見失わず、オフェンスに持っていく。その気持ちを忘れずに戦おうと思いました」

 ゲームは最後まで何が起こるか、わからない。彼女自身、昨年のウインターカップで身を持って感じたことだ。有力視されていた安城学園(愛知)を1ゴール差で退けると、聖カタリナ学園(愛媛)にも競り勝ち、4強入り。すなわち武蔵野の森総合スポーツプラザのメインコートに立った。ただし小山は安城学園戦で指を脱臼し、次戦以降、万全の状態では戦えなかった。そんな思いも背負って今回、戦っていた。


 そして集中力が切れないチームの気持ちを勝利という形に結実させたのがセンターの#10中道玲夏だ。試合終了直前、#6高本愛莉沙のフリースローが2本決めれば同点という場面で、2投目を外す…。

 そのリバウンドボールも大阪桐蔭が奪えるエリアに落ちながら、中道が何とか触って自分のボールにしてそのままシュート体勢に入り、相手のファウルをもらったのだ。その土壇場の場面でのフリースローを沈めて、今大会の山場だった大阪桐蔭を1点差で下したのである。

「無我夢中でした。フリースローが外れたらリバウンドに入ってシュートを決めて、みんなを勝たせてあげたかった。最後のフリースローは少し緊張したけど、落ち着いて打てば入る、そんな思いでいつもどおりに打ちました。大会前から大阪桐蔭に勝つために練習してきたのでよかったです」

 津幡は準々決勝で、190㎝の留学生を擁する京都精華学園に敗れ、4強入りを許す形となったが、最後まであきらめない姿勢は十分に伝わってきた。そんな選手たちを見つめる津幡・東山耕平コーチ。


大阪桐蔭との“名勝負”を制する立役者となった#10中道玲夏

「(大阪桐蔭戦では)10点以上引き離されてどうなるか思いましたが、最後まで足を使ってディフェンスし、残り3秒(最後のフリースロー)まで集中していました。昨年の先輩たちが残した戦績(ベスト4)を超えたいという思いがプレッシャーになっていたかもしれません…。(今夏の)インターハイに出場できず、ウインターカップまで苦しい4ケ月を過ごしました。落ちるところまで落ちたことで、自分たちのバスケットを貫き、甘さをなくしていこう、と。そうした中から気持ちが強くなったと感じます」

 劣勢に立たされても崩れないディフェンス力、土壇場でシュートを決める集中力、そして貪欲にボールに食らいつく姿勢。津幡は高校バスケットボールの醍醐味をコート上で見事に表現してくれていた。

文/渡邊淳二 写真/木村雄大


シェアはこちらから!!

新着記事

高校バスケ特集企画

トップへ戻る