2020/12/25

【WC2020】司令塔を欠きながらも見失わなかった北海道栄の粘り強さ


◆県立海部 77-76 北海道栄

12月23日から29日まで東京体育館をメイン会場に開催されているSoftBankウインターカップ2020(第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会)。

男子1回戦で徳島県立海部に対し、初出場とは思えない試合の入り方を見せたのが北海道栄だ。緊張感を感じさせず、躊躇なくシュート。それらがことごとく決まると、ディフェンスからの速攻でもチームの躍動感を存分に感じさせていた。北海道栄・木村匡宏コーチはこう言って選手をコートに送り出したという。

「シュートを打ち切りなさい。1ピリオドは何本外してもいい。試合は40分だから。でもそれが思っていた以上に入りましたね」

オールラウンドのプレーを見せた#13羽野唯人も「緊張感はありました。でも一人一人が相手から逃げず、攻め気を出していくうちに、緊張より楽しさが増してきた感じでした」と同調する。

ところが、第1ピリオド残り3分のところで北海道栄がアクシデントに見舞われる。司令塔の#11熊谷翔がシュートをブロックしようとした矢先、相手の体に乗ってしまい、そのまま落下。頭をコートに強打して病院へと救急搬送されてしまった。

「キーマン(熊谷)がいなくなってしまったので…」と、言葉を探そうとする木村コーチがどうにかつなげる。

「彼のためにも何とか勝って次の試合につなげたかったのですが、抜けた穴が大きかったし、抜け方も…。(コートに落ちた直後)は体をけいれんさせて意識がなかったので、(心理的にも)いつもとは違うゲームになってしまいました」


熊谷の欠場とともにチームは失速するものの、パワーフォワードの#13羽野がガードとしてアウトサイドからチャンスメークするなど、戦い方を工夫してどうにか持ちこたえた。

「熊谷がうちのエースで得点源なので、彼がいないのは痛かったけど、その分、自分が引っ張ろうという気持ちが強かった」と羽野。1点ビハインドで迎えた試合残り3秒の場面では、パワフルなドライブからアシストを披露し、土壇場で逆転。しかし県立海部に最後のシュートを決められて1点差で敗れた。

「うちのよさである粘り強さが出たし、逆転したところまではよかった。でも残り3秒、頑張り切れなかったのは指導力不足。つめが甘かったです」と矛先を自身に向ける木村コーチ。選手時代、高校と大学で日本一に輝いた指揮官は、司令塔を欠いての1点差負けの悔しさをいったん横に置き、こう締めた。

「私の指導についてきた選手たちに今回は『連れてきてもらった』と思っています。私が経験したことを伝え、選手がそれを表現してくれたのは指導者冥利に尽きます」

文/渡邉淳二 写真提供/日本バスケットボール協会



シェアはこちらから!!

新着記事

高校バスケ特集企画

トップへ戻る