2017/08/16

2017インターハイ 【輝いた選手】 パレイ紀子(明星学園#14/181㎝/C/3年)


東京都予選から試合を経るごとにプレータイムも伸び、チームへの貢献も増してきた#14パレイ紀子

この夏、頭角を現した未完の大器
“ウルトラマン”並みの
プレータイムから日々、成長中

 「やりきったという感じですね。みんなで笑いながら試合は楽しんでできました」
 準決勝・桜花学園戦を終えた明星学園の#14パレイ紀子(※)は、63-70で敗れたとはいえ、満足そうに笑ってそう答えてくれた。

  (※)登録は「のりこ」だが、戸籍では紀子なのでその表記を使用。

 台風の目となった明星学園の中でも、一際目を引いたのが、ゴール下でシュートやリバウンドでパワフルなプレーを見せた#14パレイだった。バスケット暦は浅い。本格的に始めたのは中3の夏から。縁あって明星・椎名眞一コーチにバスケットを教わることになったと言う。
 「明星杯という招待試合をやっていて、たまたま近くの弱いチームが見学に来ていた。『立ってみな』と立たせたら、180㎝あったんだよね(笑)。そのときはほとんど素人状態。うちは素人(からの選手)養成所なんだよ(笑)。下手でも大きい選手がいたら、どんどん寄こしてと言っている」と、椎名コーチはパレイとの出会いを語る。

 パレイにとっても、これが大きな出会いになった。
 「(明星学園のことは)すごいなーと思って見ていました。柳沢中(西東京市)は地区で負けるような弱いチーム。中3の時に高校ではこういうバスケがあるんだよと、見学に行ったんです。そこで、たまたま声をかけてもらい、明星に入ることなり、うれしかったです。中学では、顧問が転勤でいなくて、校長先生が教えてくれていた程度。最初は(明星でプレーするのは)絶対無理だと思ったんですけど、高橋三絵アシスタントコーチを含め、私を仲間にしたいというのが伝わって、入ることになりました。ドリブルもパスも全部、基本から教わって今に至っています」(パレイ)

身体の幅があり、パワープレイができるのが魅力だ

 最初はジャンプショットでもほんの少しのジャンプしかできなかった。ドリブルワークもできない。だが、父はトンガ出身のラグビー選手で、大東文化大に留学、後に横川電機で活躍したタカイ・パレイさん。母もニュージーランド出身のスポーツ一家だ。身体能力は半端ない。パレイの握力は右59㎏、左58㎏と驚異の数字。二重跳びをやらせたら「いつまでも落ちてこないぐらい凄いんだけど、跳ぶタイミングがわからない。早すぎたり遅すぎたり」と苦笑いする椎名コーチ。身体能力の高さとバスケットスキルのアンバランス差が、最近ようやく克服されつつあるという。

 朝練習も、ラントレからシュート練習、個人練習と続く。以前よりも走れるようになったが、ラントレが全員に課せられているのは体力がない自分のせいだと思っているので、「私のためにみんなを巻き込んでいて申し訳ないと思う」と恐縮する。それでもパレイにはまだマンツーマンディフェンスの足がないことから、苦肉の策で始めたソーンがこの夏、チームの大きな武器となり、明星が躍進する原動力となった。「ケガの功名だね」と、椎名コーチも苦笑いだ。

 「ディフェンスはまったく足がついていけなくて、私のためにみんながゾーンを覚えてくれるはめになりました。全部、自分のために動いてくれる感じです。そのゾーンも関東大会の段階ではまだ完成していなくて、ようやくインターハイの東京都予選からよくなり、インターハイ本番で機能するようになったと思います」と話すパレイ。

 プレータイムも最初は3分限定だったので、「ウルトラマン」と呼ばれていたが、少しずつ伸びてきた。フィジカルの強さも「まだまだ」と本人。椎名コーチからも「この夏のトレーニングを頑張れ」と言われている。

 パレイの強みは、ローポストの面取りからのパワープレーと強力なリバウンドだ。ウインターカップまでの課題は「リバウンドと、今はターンショットしかできないのでドリブルの技術を磨きたい。東京の激戦区を抜けて、ウインターカップでは桜花学園にリベンジしたい」と口にする。両親からのアドバイス「苦しいのは当たり前だ」という言葉を、常に胸に刻んでいる。


走力もジャンプ力も体力も含め、これからだ。桜花#7藤本愛瑚とのゴール下のせめぎあい

 「運動能力、特に跳ぶ力がある。ただ、速く跳んだり、速く動くことがまだ出来ない。休ませながら使うのが難しい。持久力はようやくついてきたところ。ゾーンもようやく機能してきて、完成形の予定はウインターカップ。そこで勝ちたいよね。紀子もゾーンの時にコーナーが守れなかった。前は一歩も動けずシュートチェックにいけなかった。それでも確実に進歩している」と語る椎名コーチ。
 「東京都の上位チームはそんなに力は変わらない」と話し、パレイのさらなる進化を見すえて、ウインターカップに勝負をかける。

 現在、明星学園には8人のハーフ選手がいる。八村塁、阿蓮の妹である八村安美奈、オコエ桃仁花(モニカ:現・デンソーアイリス)の親戚でナイジェリアから来たエンデュランス(180㎝)など。そのうちの誰かが、11月の東京都ウインターカップ予選までにパレイの控えとして頭角を現してくるかどうかもポイントとなるだろう。椎名コーチによれば、「個人プレーはできるが集団プレーがおぼつかないのが悩み所」と言う。

 今大会、明星は東京3位代表で、見事にベスト4入りを果たした。
 「東京都予選では調子悪かっただけです。みんな同じくらいの力がある。今大会、うちはたまたまいいブロックに入って、運が良かった。目標は優勝だったんですけど、ベスト4入りも悪いことじゃない。これからはもっと細かなところまで極めていきたい」
 未完の大器パレイは、冬に向けてさらなる進化を誓う。

取材・文/清水広美
写真/一柳英男
写真/若生悠貴

ディフェンスの足もさらにつけていきたい

3-2ゾーンを武器に、ルーズボール、リバウンド、スティールなど粘り強いプレーを全員が見せた明星学園。まさにチーム力でベスト4入りを勝ち取った


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