2017/06/2

めざせ!2017インターハイ 【注目選手】 相原アレクサンダー学(明成#6/186㎝/G/3年)

相原アレクサンダー学(明成#6/186㎝/G/3年) 
Gaku Alexander AIHARA


相原の得意なプレイはドライブ。バランスを崩さずにゴールに切っていく


無名選手が明成の6番を担う
アレックスの“桜”は今、咲き始めた

 2005年に創部、今年創部13年目を迎えた明成。「6番」のユニフォームを着る選手は、歴代、エースガードを意味する。初代1期生の伊藤駿(サンロッカーズ渋谷)をはじめ、石川海斗(仙台89ERS)、畠山俊樹(新潟アルビレックスBB)、植村哲也(法政大4年/主将)、納見悠仁(青山学院大2年)らは、みな明成の「6番」を背負い、全国制覇時のPGとして活躍してきた。

 今年の明成の6番は、相原アレクサンダー学(以下、アレックス)が担っている。アレックスは、1年からエントリー入りしているものの、決して全国区の選手ではない。コアな明成ファンならば「ああ、あの選手か」と思うかもしれない。知る人ぞ知る選手だ。数少ないプレイタイムながら、1試合に数回、とんでもないところからリバウンドに跳び込んだり、リーチを生かしたスティールを見せたりと、身体能力の高さをうかがわせる印象に残るプレイを披露してきた。だが、シュートを打てばエアボールになったりして、成功以上に失敗プレイも多かった。

 そんなアレックスだが、地道な努力によって1つひとつ失敗を成功に変えてきた。エアボールだったシュートは、今や勝負どころでスリーポイントを決めるまでになった。ファウルになっていたスティールは、普段のディフェンスでは長い腕をたたんで構えているが、隙あらばマジックハンドのように伸びて“ひょい”とうまいスティールにつなげ、そのままフィンガーロールに持ち込むようになった。ルーズボールを追いかけてベンチに飛び込む闘争心を見せることもしばしばだ。硬かった股関節も、チームの高橋陽介トレーナーの指導によって「ストレッチの継続で以前より柔らかくなった」(アレックス)。その成果は、ドライブの突き出しのスムースさに現れている。新チームになってからは、佐藤久夫コーチからキャプテンを任命された。


外角シュート確率も上がってきている

 東京・梅丘中時代は、現在のチームメイトでもある#5塚本舞生(つかもとまお)、#8八村阿蓮とともにスターターだった。だが、試合が始まるとすぐに交代するような選手でもあった。高校進学の選択も、2人と相談して決めた訳ではない。

 「自分は中2の時にウインターカップの準々決勝で明成対八王子戦を見て、明成に入ると決めました。明成のパス回しとか、白戸大聖さん(東海大4年)の柔らかいプレイを見たからです。でも、入学した時、自分には自慢できるものが何もなかった。梅丘中でも活躍したわけではないから。そんな自分でも活躍したいし、うまくなりたいという気持ちがあり、明成を選びました」
 入学したいきさつをそう明かすアレックス。高校入学時は172㎝と小さかったが、現在の登録は185㎝。今なお身長は伸び続けているそうだ。

 アレックスの着実な成長の根底にあるのは、もっとうまくなりたい、というハートである。考え方はシンプルだ。また、これまでキャプテン経験はないが、キャプテンに指名されて早速にチーム変革に取り組んだのが、コミュニケーションだった。1月の宮城県新人大会で、チームメイトが転んだ瞬間、猛ダッシュで走ってきて手を差し伸べ助け起こしたのはアレックスだった。「ディフェンスの声はもちろん、攻めるときとか簡単なミスをしないようにハドルを組み、そこでガードの塚本が指示をします」と話すアレックス。昨年はシーンと静かだったコートに、ことあるごとに確認の声が飛び交い、明成に活気が蘇った。


キャプテンを務めるのは初めて。決して器用なタイプではないが、行動で示すことでチームを引っ張っている

 アレックスに5月の能代カップでのチームの成長について尋ねてみた。

 「練習の時から『勝機を逃さないバスケをしよう』と言ってきたので、それはできたと思います。負けていても最初は奇数の得点差でついていき、“最後に桜を咲かせる”。去年のウインターカップの時に先生からそう言われていました」
 控え目な言葉の中に、アレックスの自信のほどがうかがえた。

 特に大会3日目の福岡大附大濠戦では、チームは自信にあふれたプレイの数々を披露した。ディフェンスから自分たちのペースに引きずりこみ、オフェンスではボールムーブからオープンショットで確実に得点をものにした。ライバルと目していたチームを相手に、粘り強い戦いぶりだった。

 「大濠戦では絶対に負けないという強い気持ちが出て、チームが一つになれた」と話す。もっとも、今がチームの完成形でないことはキーワードの“桜”からもわかる。「最後に桜を咲かす」とは、佐藤コーチが前任の仙台高監督をしていたころに「仙台の桜は冬に咲く」と口にしたことに由来するのではないか。実際、仙台には冬に咲く“啓翁桜(けいおうざくら)”がある。それになぞらえて、最後、つまりウインターカップで勝つという意思表示をしているのではないかと思われる。

 かつて試合に出てもいつも焦りから空回りしてなかなか芽が出ない、小さな蕾だったアレックスの桜も、ようやく五分咲きといったところだろうか。佐藤コーチから「気持ちを出してやれ」と言われ、身体も手の使い方でもファウルが先行していたが、3年になった今は我慢のディフェンスを見せている。能代カップでも、ファウルアウトせずに最後までコートで踏ん張った。練習中に佐藤コーチから「手癖が悪い」と言われたプレイも、清水翔太アシスタントコーチとともに練習後に1対1の個人練習を積み重ねたことで、悪いクセを直してみせた。

 アレックス自身はどんな選手になりたいのか、聞いてみた。
 「自分が目指していたのは入学当時3年だった納見(悠仁)先輩です。納見さんのゲームメイク、ドライブの崩し方を見て目標にしてやってきました」

 冬に満開の桜を咲かせるためには、夏のインターハイで“経験”というたっぷりの肥料が絶対に必要だ。地道な練習で成長を遂げたアレックスが、見事な桜を咲かせるための第一歩は、福島が舞台となる。

取材・文/清水広美 
写真/若生悠貴

試合中、何かあればハドルを組み、気づいたことを互いに伝え合う


インサイドにディフェンスが収縮すると、#10田中裕也、#12本間紗斗のスリーポイントが炸裂する


※宮城県インターハイ予選は、6月3日(土)ー5日(月)、白石市にて開催
※東北ブロック大会は、6月24日(土)、25日(日)、青森県青森市で開催

◆注目選手◆バックナンバー
 ◇津田 誠人 (洛南 #6/192㎝/F/3年)
 ◇星川 堅信 (洛南 #15/188㎝/SF/1年)
 ◇伊藤 領  (開志国際 #4/180㎝/G/3年)
 ◇和田 蓮太郎 (開志国際#13/197㎝/SF/2年)
 ◇児玉 海渡 (能代工業#5/184㎝/F/3年)
 ◇新田 由直 (能代工業#6/188㎝/PF/2年)
 ◇保泉 遼 (市立船橋#4/181㎝/SG/3年)
 ◇野崎 由之 (市立船橋#7/180㎝/SF/3年)
 ◇中田 嵩基 (福岡大附大濠#13/173㎝/PG/2年)

 ◇土家 大輝 (福岡大附大濠#12/173㎝/PG/2年)
 ◇星野 京介 (中部大第一#4/182㎝/SF/3年)
 ◇坂本聖芽 (中部大第一#5/181㎝/SG/3年)
 ◇八村阿蓮 (明成#8/194㎝/C/3年)

◆能代カップのレポート、結果などはこちら
◆能代カップで光ったルーキーたち01、02はこちら
シェアはこちらから!!

新着記事

高校バスケ特集企画

トップへ戻る