チーム訪問

2016/12/1
宮崎県立小林高等学校
宮崎県

小林 【Vol.1】 男女コーチングスタッフ インタビュー

男女とも歴史・伝統があり、九州の県立高校を代表する宮崎県の名門チーム。
今回はその魅力に迫る。
男子は、インターハイ・ウインター県予選ともに、惜しくも準優勝で全国は逃したが、女子は、インターハイベスト16。
ウインターカップでは、古豪復活、さらに上位を目指す。

小林ってどんな学校?

1919年(大正8年)創立の高等女学校と1921年(大正10年)創立の旧制中学校が前身。1948年(昭和23年)の学制改革により以上2校が統合新制高校として発足。2016年(平成28年)創立95周年を迎えた。1948年(昭和23年)4月1日旧制中等教育学校2校が統合、新制高校 宮崎県立小林高校が発足。全日制課程 普通科普通コース、体育コース、探究科学コースがある。校訓は「立志鍛練」。

バスケットボール部の主な戦歴

女子は、1978年(昭和53年) 全国高校選抜優勝大会(現ウインターカップ)で初優勝。1979年(昭和54年)インターハイ初優勝。県開催の第34回国体少年女子で初優勝。ウインターカップは今年で8年連続33回目。優勝1回 ベスト4が2回。
男子は、1998年(平成10年)ウインターカップ4位、1999・2000年(平成11、12年)準優勝、2000年(平成12年)高山インターハイ準優勝。

主な卒業生

女子では、竹山とよ子(元共同石油、1986年アジア大会日本代表)、川上香穂里 (元ジャパンエナジー)、新原 茜(元JX)。男子は、清水太志郎、瀬戸山京介 (元京都ハンナリーズ)、北郷謙二郎(元オーエスジー)、前村雄大(栃木ブレックス)、小林慎太郎(熊本ヴォルターズ)など多数のプロ選手を輩出している。

小林高校HP
http://cms.miyazaki-c.ed.jp/6017/htdocs/index.php?page_id=0

女子ヘッドコーチ 前村かおり コーチングフィロソフィー

キーワード①
今は一番下だから、あとは上がって行くだけ

――歴史ある小林・女子でも九州大会の優勝は通算6回。その中で今年は2連覇ですが。

とよ子さんたち(卒業生で現在男子のAコーチを務める。旧姓竹山)は3連覇されていると思います。私も数少ない優勝を経験させていただいてありがたいなぁと思っています。

昨年のウインターカップが12月25日に終わり、翌日の26日から今年のチームがスタートしました。すぐの柏キャンプでは、どこにも勝てませんでした。このままではまったく戦えないなぁという激弱からのスタート。。加賀谷以外は、ほとんど試合経験もないエントリーされたことがなく、ずっと上で応援していたメンバーでした。九州はもちろん、宮崎県内でも勝てるのかという状態からのスタートでした。

特に、技術的にもキャッチング・ドリブルの突き出し等の基本的なことができないという状態で、本当に今年はきつかったです。でも、その時チームに話したのは、「今はここ(一番下)だから、あとは上がって行くだけ」と。チームのモチベーションがありました。
このチームは、そこからのスタートでした。

キーワード②
課題は、私がしっかり策を練る

加治屋もいい選手ですけど、そこに今まで頼っていたのが九州大会ではある程度分散できました。そこがなければチームの底上げはなかったのかもしれません。あのキャッチできなかった選手が落ち着いてきて実力も伸びてきました。仙骨の疲労骨折をした選手がいるんですが、3月から試合に出はじめ、ポジションもコンバートもしたことでスターターなりました。昔のビデオを見ると、「邪魔だよ」とか「早くボールを取って」とか言われている子でした(笑) 今回の取材を受けたことでまた自信になってくれればいいなぁと思います。

選手は「一つ上の代の先輩たちの成績を追い抜く結果を出したい」と厳しい覚悟を持って練習していています。

その中で今年のチーム課題はいくつもあります。軸がいつもブレるので、しっかり折れない戦い方の軸作ることがまず一つ。加治屋を中心にですけど、インサイドに入れる、自分がドライブで切っていってファウルをもらって確実にフリースローで2点を取るという形が理想です。しかし、現実としては、その場で「どうしよう」、「私じゃないよね、やばい…」というのが出てきてしまうのが今年のチーム弱点。今回九州大会を狙って取れたというのは彼女たちにとって自信になってくれればいいと思います。天狗になるのではなく、良い意味の自信にして全国に挑みたい。

最大の課題は、ターンオーバーとリバウンド。そこを改善したい。まだ真っ向勝負で戦えるチームではないので、コーチである私は策をしっかり練る。それが私自身の課題です。

広島インターハイではベスト16止まりでしたが、「3回戦の就実まで勝って、桜花学園に挑もう」が目標でした。何回もビデオを見直すと、自分たちの試合への入り方がおかしいし、前半はことごとくシュートも落ちているし、相手のシュートは確率高く決められていたので、ここが今のチームの限界かなぁと思いました。

でも、後半はディフェンスから頑張る持ち味が出て、「これだ」と感じました。自分たちにはこれしかないということ、普通にやったらどこにでも負けるチームということを再確認出来ました。

キーワード③
負けからの修正

その前の国体九州予選で沖縄に負けて2位。沖縄は「判断バスケット」で寄ったら外、寄らなかったら切っていくとそれがすごく上手でした。これがバスケットの基本であり駆け引きの面白いところだと、しばらくはフリーランスでそれぞれの判断力を鍛える練習をしました。その後の総合選手権の予選で日章学園相手にすごいロースコアゲームで、ミスが多く2点差で負け。判断バスケットにしたがために、セットプレイからフリーランスにして私が崩してしまった。これを反省材料とし、フリーランスで学んだ良さとこれまでの良さを組み合わせてウインターカップに臨もうと、負けからもう1回修正しました。

ウインターカップ予選では、決勝まではだいぶ良い形で入ったのですが、メインコートに立ったことがない選手が多いかったので少し舞い上がった部分もあり、前半は17点しか取れず、11点ビハインドで折り返しました。ハーフタイムに「1回ストレッチしよう」と伝えました。私はiPadでデータを見せてどこを修正しようかと選手たちともたくさん話をしました。それがうまくいき、最大14点差をやっとの思いで追いついて、勝ちました。

キーワード④
コートの中での「運を貯める」

――ご自身も小林の卒業生。小林の伝統とは?

いろんな方から聞く話では「小さくても走る。」それが小林高校の伝統。また、私自身が思う小林の伝統というのは、礼儀を重んじたり、人を敬ったり、挨拶をしっかりやったりということ。バスケットもそうですけど、バスケット以外の部分で人として成長する。それは、これまでの先輩方を見ても、この子たちを見てもこれが小林らしさなのかなとすごく感じます。また、コートから離れて尊敬できないような人間は応援されないと思いますし、技術よりも人間性を大事にしていけたらいいなと思います。私はその結果が、コートの中での「運を貯める」と選手たちには言っています。

そこにごみが落ちているとして、それを拾うことで、最後の最後に自分たちがほしいシュートがくる。それを信じて、24時間バスケットでご褒美がくるように過ごす。選手もそれを信じながら生活をしてくれています。

前村かおり 女子HC プロフィール
バスケを始めたのは今町ミニバスで小4。五十市中学校では父がバスケ部の顧問。
現役時代の主な戦歴は、小林高校時代に茨城インターハイで桜花学園を破ってベスト8、ウインターカップもベスト8。筑波大学ではリーグ4連覇。その後、大学院に進みACコーチとして2年目に優勝。小林高校に赴任し今年で6年目。3年前からヘッドコーチ。
一番影響を受けたのは父。子供たちにバスケットを指導する姿を見て楽しそうな生き方に感銘。バスケットの基本は西田先生、勝ち方や戦略戦術は筑波大学の内山先生に学ぶ。

男子ヘッドコーチ 石川祐二 コーチングフィロソフィー

キーワード①
新人戦50点差からのスタート


――まず夏のインターハイ予選決勝の話から聞かせてください。新人戦のときに50点差で負けていた延岡学園を相手に終始リードする展開。

新人戦が終わって50点差がついた。そこからどうやって延岡学園を倒そうと考えた時に、リバウンドを弾いてルーズボールにして、それを取ること。
また、よくボールが落ちてきている特定の場所がありました。そこにオフェンスでもディフェンスでも必ず一人リバウンドに入ること。いろんな特徴を持つ選手のピックアップの仕方を徹底することなど、延岡学園に勝つことだけを考えてずっと練習してきました。それがうまくいきました。

加えて、キャプテンの子が「日常生活から見直そう」と言って、3年生が率先してモップがけをしたり、水くみとかやっていこうと。日常生活から見直すことで、何かが変わるのではないかとあの子たちからアクションを起こしてくれました。
結果としては、残念ながら1ゴール差での敗退。悔しかったですね。うちは試合が終わったあと、挨拶までがバスケットだからと言っています。相手に礼儀を尽くせと。それができずにコートの中で倒れこんだ。ぐしゃっと崩れた。初めて見ました。悔しかったんだろうな。
僕もロッカールームで涙を流したんですけど、今回は負けたけどね次は絶対頑張ろうと。それで九州大会のモチベーションも変えてくれて、ベスト4に進出できたと思います。

ウインターカップの予選では、決勝で再び延岡学園戦。前半4点~5点のビハインドは想定内で、後半走るぞと言ったのですが逆に走られあたり、外から決められたり相手が一枚上手でした。今回はしっかり挨拶して、応援にきてくれた人たちにも行き、ロッカールームで「私の力不足だった」と3年6人がまた号泣しました。「先生をWCに連れて行く約束を果たせずに申し訳ない」と言われ、この子たちと3年間やってきて、良かったと思いました。

キーワード②
学校生活があってこその部活。それがなくして競技力向上なし


――普段、選手に求めているのはどういうことですか?

「学校生活があってこその部活。」それがなくして競技力向上なし。全員が寮生ですので、寮生活を大事にしてバスケットに生かしていこう、というコンセプトでやっています。

石川祐二 男子HC プロフィール

小戸ミニバスで小2からバスケットボールをはじめる。2度全国大会へ。当時のコーチが前小林女子コーチ・西田先生。日向学院中~日向学院高~福岡大。
日向学院3年の時に茨城インターハイ出場。2回戦で能代工に敗退。その年から能代工の10連覇が始まった。
教員として1994年高鍋高に赴任(4年)~高千穂高(5年)~小林高へ(6年目)。2014年ウインターカップに出場。

「支える」
男子アシスタント・コーチ 永田とよ子 インタビュー

旧姓は竹山とよ子。いわずと知れた、女子を日本一に導いた小林の大エース。共同石油(現JX)、日本代表としても活躍した大先輩。 現在は男子のアシスタント・コーチとしてチームをバックアップしている。

――現在は男子のアシスタント・コーチですが、九州大会は男女そろってベスト4でしたね

 男子は4年ぶりのベスト4。今年の男子はその時と同じような雰囲気があります。3年生が自分たちの代になって、自分たちから積極的に行動しています。練習の中でも、ちゃんとできてない選手は先生ではなくて選手たちが練習に参加させないで外に出したりとか。4年前も今年もそういうことを徹底してやっています。
日常生活でも、学校生活でも、バスケットに関しても3年がキチンと言ってやっているチームです。

――新人戦で50点差つけられていたチームに、インターハイ予選では2点差まで追い詰めるあわやの展開でした。

 優勝することを目標にやっていて、ショックというか、ケガ人が出たりしてそれでも勝てなかった。ということはどこか足りないマイナスの要素があるかなと思います。今からやっていくべきことを子供たちに話しをしました。終わったあと、選手たちが泣き崩れて自分でも涙が出たんですけど、一番悔しいのは子供たち。しかも1ゴール差。その悔しさを次のバネにしてほしい。

――女子はどう見ますか?

女子は、去年の3年生が卒業して、最初は大丈夫かなと思ったのが本音でした。でも、遠征や試合を重ねるうちに良くなってきているのが目に見えてわかります。延岡学園戦がどの大会でもヤマでしたが、そこでキチンと勝って最後は自分たちのバスケットをやれたので、ああ大丈夫かなと思いました。
エースの加治屋がパニックにならないでやれれば大丈夫。ここ何か月かですごくうまくなったんですよ。チームメイトにとってはプラス。ケガ人も出てきたけど、自分たちの流れに良くなってきました。

取材・文:清水広美 / 写真:小林高校、宮崎県県協会広報部、清水広美、一柳英男


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